研究課題
アポリポ蛋白CIII(アポCIII)は、中性脂肪に富むリポ蛋白の主要な構成蛋白であり、最近の臨床研究の結果から、アポCIIIが動脈硬化の発生進展に深く関与する可能性が示唆された。アポCIIIの解析において、マウスのアポCIII並びに脂質代謝系はヒトとは大きく異なるため、本研究では、ヒトと類似したアポCIIIと脂質代謝系を併せ持つウサギを用いて、ヒトアポCIIIトランスジェニックウサギを開発し、脂質代謝と動脈硬化におけるアポCIIIの役割を明らかにすることを目的とした。本年度は昨年度に引き続き、アポCIIIトランスジェニックウサギを作製すべく、マイクロインジェクションを行った。採卵ドナーウサギにFSHによる過排卵処置を行い、♂ウサギとの交配を行った後、19時間後に採卵した。本年度は、受精卵へのマイクロインジェクション後、3-4時間培養し、生存胚(2細胞期ないし4細胞期への卵割)を選抜して、レシピエントウサギ1匹あたり30個の受精卵を戻した。240個の受精卵を9匹のレシピエントウサギに移植したところ、全てのウサギが正常に妊娠し、出産した。計48匹の仔ウサギが生まれ、32匹が離乳まで正常に成長した。これらの仔ウサギの耳組織の一部を採取し、PCRによるアポCIII遺伝子の導入を確認したところ、残念ながらアポCIII遺伝子が導入されたウサギは得られなかった。しかしながら、マイクロインジェクション法の改善により、昨年度に比べ、格段にレシピエントの妊娠・出産率が向上したため、今後もマイクロインジェクションを継続し、アポCIIIトランスジェニックウサギの開発を試みる。
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Arterioscler Thromb Vasc Biol.
巻: 33 ページ: 224-231
10.1161/ATVBAHA.112.300445