研究概要 |
ガングリオシド欠損に伴うグリア細胞の異常活性化とグリア細胞の分別的役割を検討するために以下の検討を行った。 まず、ガングリオシド欠損に起因するアストロサイトとミクログリアの活性化の機序を解明するため、WT, DKOマウスの脳組織切片を用いて、細胞膜構造の変化に基づく異常活性・増殖の検討を行った。アストログリアでのGFAP発現、ミクログリアのサブタイプであるM1、M2の選別的抗体染色の条件検討から開始した。GFAPによるアストロサイトの検出は順調に実施された。ミクログリア全体の検出はIba1で明瞭に可能であり、DKOにおいて明らかに強く染色された。一方、M1のマーカーであるiNOS抗体では染色が順調に進まず、抗体の再購入を余儀なくされた。M2マーカーであるアルギナーゼ1抗体での染色は、脳組織全体が軽度に染色され、再検討中である。 さらにガングリオシド欠損により活性化したグリア細胞がいかに炎症・神経変性を惹起するかを解明するため、WTマウス由来のニューロンに対するWT, DKO 初代培養グリアの作用を検討すべく、ニューロンの初代培養技術を、宮崎大学医学部の高宮考悟研究室に赴いて習得した。現在、KOマウス脳を用いて検討を開始した。 ガングリオシド欠損によってアストロサイトがどのような機序で活性化するのかを検討するため主にマウス初代培養グリアを用いて下記の実験を行った。マウス新生仔脳からアストロサイトを単離し、初代培養細胞を樹立した。持続震盪法により、アストログリアとミクログリアを分離することに成功した。次に、初代培養アストロサイトの活性化を検討するため、炎症性サイトカイン(TNFα, IL-1β, IL-1α, IL-6, IFNγ)の産生をreal time RT―PCRおよびELISAによって検討し、DKOにおいて出生時に既に発現上昇の傾向が見られることが明らかになった。
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