近年、メタボリックシンドロームの発症には炎症メカニズムの関与が必要であることが明らかにされつつある。炎症制御の中心的因子であるp38αの血管血球系ノックアウトマウスを作製することにより、炎症制御によるメタボリックシンドロームへの介入メカニズムを検討した。p38αの血管血球系ノックアウトマウスでは高脂肪食によるインスリン抵抗性および肥満が抑制されること、脂肪組織における炎症性サイトカインの発現が減少していること、脂肪組織へ浸潤する炎症性マクロファージが減少し、また炎症性マクロファージにおけるケモカインレセプターの発現が低下していることを明らかにした。このことから、p38αは脂肪細胞における慢性炎症を介してインスリン抵抗性を制御していることが示唆された。さらに、肝臓における脂質代謝制御遺伝子の発現が変化していたことから、血球細胞におけるp38αは肝における脂質代謝への影響を介して、肥満を制御している可能性が示唆された。
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