研究課題
オートファジーは細胞内における主要な分解メカニズムのひとつであり、生体の恒常性維持に大きく寄与している。これまで酵母による研究から30以上のオートファジー(ATG)遺伝子が同定され、ヒトを含む高等真核生物でもこのATG遺伝子が保存されていることから、真核生物間でほぼ共通の分子機構を持つと考えられてきた。しかしながら、近年、酵母におけるオートファジーに必須とされるAtg5やAtg7に非依存的に誘導されるオートファジー経路の存在が報告されている。本研究は、申請者らが新規に開発中のきわめて簡便なオートファジー観察システムを用い、未知のオートファジー遺伝子や経路を発見し、その機能解析を行おうとするものである。本年度は、前年度に引き続き、Keima蛍光タンパク質を発現させたヒト培養細胞を用いた実験系を利用し、ミトコンドリア特異的オートファジー(マイトファジー)を制御する新規関連遺伝子の同定に成功した。前年度までの研究から、マイトファジーはAtg5/Atg7に非依存的に誘導されること、MAPKであるErk2およびp38によって制御されること、および既存のmTOR経路を介したオートファジーには関与しないことを明らかにした。本年度はこれらシグナル経路の下流に位置する、マイトファジーを直接的に制御する関連因子の同定を目的として実験を行い、数個の候補因子を同定するに至った。これらの候補因子は飢餓条件下あるいは低酸素条件下のいずれか、あるいは両条件下で誘導されるマイトファジーの制御に関与することを明らかにした。この結果は、マイトファジー制御機構を根本的に明らかにするため、さらには損傷を受けたミトコンドリアの細胞内蓄積によって発症するミトコンドリア関連疾患の根治への大きな前進であると考えている。これらの研究結果については、現在、学術誌に投稿し改訂を行っている。
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Journal of Cell Science
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EMBO Reports
巻: 14 ページ: 788-794
10.1038/embor.2013.114
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