今後の研究の推進方策 |
NDRG2欠損マウスを長期間にわたって経過観察した結果、ホモおよびヘテロ欠損マウスで野生型マウスに比べて早期に死亡し、安楽死後臓器を確認したところ各種臓器で腫瘍形成および心肥大、脂肪肝が認められた。NDRG2欠損によるAKT活性上昇がメタボリックシンドロームおよび糖尿病、さらには心疾患を引き起こすかどうか検討を行う。N-エチル-N-ニトロソ尿素 (N-ethyl-N-nitrosourea:ENU)を単回腹腔内投与により、NDRG2欠損マウスと同じように情報伝達系PI3K/AKT経路の活性が増加するrasH2マウスにおいて肺、肝臓および胃で腫瘍が誘発されることが知られている。そこでNDRG2 欠損マウスにも同様の処理を行い、発がん機構を検討する。NDRG2はPI3K/AKT情報伝達系を調節するがん抑制遺伝子であることが示唆されるが、詳しい分子機構については不明な点が多い。AKT上流(PTEN,PI3K)、下流(FOXOs,GSK3beta,mTOR等)のシグナルやクロストークして作用するシグナル(IKK,MAPK等)についてさらに詳しく研究する。Mouse embryonic fibroblast (MEF)を作製し、また癌細胞株にNDRG2を過剰発現させることにより、NDRG2の機能の解析を目指す。
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