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2012 年度 実績報告書

NDRG2欠損マウスは全身性AKTリン酸化によりがんを含む各種成人病を引き起こす

研究課題

研究課題/領域番号 23790372
研究機関宮崎大学

研究代表者

市川 朝永  宮崎大学, 医学部, 助教 (80586230)

キーワード癌 / シグナル伝達 / 成人病
研究概要

NDRG2(N-myc downstream regulating gene 2)は多くの固形がんにおいて特異的発現低下が見られ、がん抑制遺伝子として知られる。我々は成人T細胞白血病や口腔がんの解析からNDRG2がPI3K/AKT情報伝達系の活性抑制に働くことを発見し、さらなる解析を進めるためにNDRG2 欠損マウスを作製した。組織からのタンパク質を使ったウエスタンブロットで、特に脳、心臓、肝臓でNDRG2の発現が高く、ホモ欠損マウスでは完全に発現が消失している一方で、AKTリン酸化が増加していた。長期間(6-24ヶ月)飼育すると、NDRG2欠損マウスでは生存率が低下した。死後解剖してみると肝臓、肺などの臓器に腫瘍が見られ、リンパ腫と思われる腫瘍も認められた。またNDRG2欠損マウスでは脂肪肝や心肥大を起こしていた。NDRG2はがん抑制遺伝子として働いている一方で、心疾患や循環器疾患の発症にも関与している可能性を示唆した。
NDRG2欠損マウスでは加齢に伴い耐糖能が変化し、絶食後グルコース値が増加しており、また、病理学的所見から肝臓に脂質の蓄積が認められた。心臓においても重量の増加、心筋の肥大が認められ、NDRG2欠損による循環器疾患の発症が明らかとなった。
発がん物質投与により、NDRG2欠損マウスでは肝臓等に腫瘍が誘発されていた。
腫瘍形成および循環器疾患の発症のメカニズムとして、NDRG2はPTEN/AKT/GSK3betaのリン酸化を減少させ、またIKK/IkBa/NFkappaB系を制御していることが明らかとなった。NDRG2はPTENと直接結合することによりPTEN活性を調節し、下流シグナルを制御している可能性を示唆した。NDRG2の発現低下がこれらのシグナル伝達系の異常な活性を惹起し、ひいてはさまざまな成人病を引き起こす可能性を示唆した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 新規癌抑制遺伝子NDRG2の遺伝子改変マウスを用いた がん発症機構解析2013

    • 著者名/発表者名
      市川 朝永
    • 学会等名
      個体レベル支援活動ワークショップ
    • 発表場所
      琵琶湖ホテル(滋賀県)
    • 年月日
      20130206-20130207
  • [学会発表] Molecular mechanism of tumor suppressor gene NDRG2 suppression mediated by HTLV-1/Tax2012

    • 著者名/発表者名
      市川 朝永
    • 学会等名
      第85回日本生化学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      20121214-20121216
  • [学会発表] Chronic inflammation induces DNA promoter methylation of tumor suppressor gene NDRG22012

    • 著者名/発表者名
      市川 朝永
    • 学会等名
      第71回日本癌学会
    • 発表場所
      ロイトン札幌(北海道)
    • 年月日
      20120919-20120921
  • [学会発表] がん抑制遺伝子NDRG2によるHTLV-1/Tax誘導性NFkappaB活性抑制機構の解析2012

    • 著者名/発表者名
      市川 朝永
    • 学会等名
      第5回HTLV-1研究会
    • 発表場所
      東京大学医科学研究所講堂(東京都)
    • 年月日
      20120825-20120826
  • [学会発表] 癌抑制遺伝子NDRG2は炎症反応によって発現が調節される2012

    • 著者名/発表者名
      市川 朝永
    • 学会等名
      第33回日本炎症/再生医学会
    • 発表場所
      ホテル日航福岡(福岡県)
    • 年月日
      20120705-20120706
  • [学会発表] がん抑制遺伝子NDRG2によるHTLV-1/Tax誘導性NFkappaB活性抑制機構の解析

    • 著者名/発表者名
      市川 朝永
    • 学会等名
      第23回宮崎造血因子研究会
    • 発表場所
      宮崎観光ホテル(宮崎県)
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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