研究概要 |
甲状腺組織におけるSNX2の分布について、正常甲状腺、甲状腺悪性腫瘍、機能亢進性病変(Basedow病、Plummer病)を対象に免疫組織学的に検討した。正常甲状腺組織ではfocalな分布を示し、高円柱状濾胞上皮(active thyrocyte)に陽性、扁平な形態の濾胞上皮(inactive thyrocyte)には陰性であった。active throcyte, inactive thyrocyteそれぞれ100個ずつを計測し細胞高計測値との相関を検討したところr=0.79であり、SNX2陽性像と濾胞上皮形態に有意な相関がみられた(p<0.05)。甲状腺癌では、乳頭癌(15例)、濾胞癌(9例)、髄様癌(10例)いずれにおいてもSNX2は腫瘍細胞に瀰漫性強陽性を示し、正常甲状腺組織と比較して有意であった(p<0.05)。未分化癌9例では7例で瀰漫性の陽性像であったが、正常甲状腺組織との有意差はなかった。機能亢進性病変でも多くの症例で瀰漫性強陽性を示したが、術前治療が行われているBasedow病の一部では正常甲状腺組織と同様にfocalな分布を示した。 正常濾胞上皮培養細胞(ラットFRTL-5)を用いて、TSH添加前後でのSNX2発現量の変化をウェスタンブロット法を用いて検討したところ、TSH存在下(1mU/ml)ではSNX2発現の増加ならびに細胞の大型化(細胞面積ならびに細胞周囲長ともにp<0.05)。
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