研究課題
本研究では胃癌における癌幹細胞の非対称性分裂によってどのように変化するのかを明らかにし、胃癌の病態、組織ヘテロジェナイティーを解明することを目的とした。前年度までの研究で、胃癌細胞株TMK-1、MKN-45を材料にFACSを用いて幹細胞が存在すると考えられているside-population(SP)細胞を分離し、ヒストン等のクロマチンリモデリングに関わる遺伝子群の発現が変化していることを明らかにした。本年度は胃癌細胞株HSC-57をFACSにてSP細胞とnon-SP細胞に分離し、GeneChip解析からSP細胞の表面に発現する分子として、インテグリンα2 やセマホリンを同定した。特にインテグリンα2 は基底膜接着幹細胞のマーカーとなる可能性があり、現在外科的に切除された胃癌・食道癌を材料に免疫染色を行っている。食道癌においては基底側の細胞の一部に染色され、幹細胞マーカーになる可能性が示唆された。さらにSP細胞に特徴的に発現している転写因子としてKLF-5とETS-2を同定した。これらの転写因子をsiRNAでノックダウンしFACS解析を行った結果、SP細胞の比率が低下し、KLF-5とETS-2はSP細胞の維持に重要な転写因子と考えられた。以上の結果から、胃癌細胞の癌幹細胞維持に転写因子KLF-5とETS-2が重要であることが示唆され、今後はKLF-5とETS-2の標的遺伝子の同定が重要と考えられる。インテグリンα2は基底膜接着幹細胞のマーカーになる可能性もあり、FACSを用いてインテグリンα2陽性細胞を分離し、癌幹細胞の性質を解析する必要がある。さらにBrdU取込みによる非対称分裂の解析を行い、これらの分子の分布が非対称性分裂時にどのように変化するのかを解析する必要がある。
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