研究課題
若手研究(B)
本研究では、トランスクリプトーム解析等を用いて、特に消化管腫瘍の転移に関連する遺伝子に焦点を当てて検討を行った。まず、転移形成において重要な役割を果たしていると考えられる3種類の癌幹細胞マーカー(ALDH1, CD44, CD133)の胃癌原発巣と転移巣における発現と臨床病理学的意義についての解析を行い、特にALDH1はdiffuse type胃癌において有意に転移巣での発現が亢進することが明らかとなった。次にマイクロアレイによって得られた候補分子であるHOXA10の胃癌における臨床病理学的解析を行った。HOXA10は749例の胃癌のうち221例(30%)に発現上昇を認め、特に深達度の浅い症例や分化度の高い組織型に多く発現していることが明らかとなった。またHOXA10は腸上皮化生や腸型粘液形質胃癌で高い頻度で陽性を示し、CDX2やMUC2の発現と有意な正の相関関係を示した。さらにHOXA10陽性胃癌は陰性胃癌と比較して有意に予後良好であったが、この理由としてHOXA10が癌細胞の細胞増殖活性や細胞運動能を制御していることが明らかとなった。
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