胃癌の罹患数はアジア地域が世界の50%以上を占めており、我が国における研究の推進が求められている。癌細胞における遺伝子異常のみならず、腫瘍組織内における癌細胞周囲の微小環境の重要性が指摘されている。一方近年microRNA(miRNA)の生体内における重要性が明らかになった。またexosomeと呼ばれる小胞を介して細胞外に分泌型miRNAとして放出され、体液中においても安定して存在していることが報告され、その生物学的意義が注目されている。本研究では癌間質におけるmiRNA発現情報を網羅的、体系的に解析し、分泌型miRNAの胃癌間質相互作用と上皮間葉転換(EMT)における役割を明らかにすることを目的とした。まず無作為に抽出した胃癌切除症例20例の腫瘍部を材料にマイクロアレイを用いて188種のmiRNAの発現レベルを解析し、スキルス胃癌におけるmiR-143、miR-145の発現亢進を確認した。9種の胃癌細胞株、正常胃粘膜由来線維芽細胞株(Nf)、胃癌部由来線維芽細胞株(Caf)におけるmiR-143、miR-145の発現を検討したところ、胃癌細胞株と比較して線維芽細胞株では著明に発現が亢進しており、またNfと比較してCafの方が発現が亢進していた。胃癌細胞株にmiR-143を強制発現させると、形態学的には著変は認められず、細胞生物学的機能としては増殖能に変化は無いものの、浸潤能が著明に抑制された。加えてmiR-143はcollagen type 3の発現を制御しており、TGF-6はmiR-143の発現誘導に関与することを明らかにした。
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