研究課題/領域番号 |
23790405
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大石 善丈 九州大学, 大学病院, 助教 (60444824)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 明細胞腺癌 / 酸化ストレス / 子宮内膜症 / 腺線維腫 |
研究概要 |
本研究にて卵巣明細胞腺癌の生物学的特性を明らかにするため、その発生母地による腫瘍発生機序の相違について研究した。本研究の概要は(1)明細胞腺癌のHE標本をレビューし、詳細な病理組織所見を記録する。特に腫瘍発生にかかわる子宮内膜症や腺線維腫の所見を注意深く抽出する。(2)酸化ストレスのマーカーである8-OHdG、iNOS、COX2を免疫染色し、HE所見から得られた病理組織所見と比較検討する。(3)腫瘍発生に関連すると思われる遺伝子(PIK3CA, ARID1A, PDGFR, TGF-beta RII, LH/hCGR)の異常を検索する。(4)病理組織所見(特に子宮内膜症や腺線維腫)、酸化ストレスマーカーの発現、遺伝子異常の関係について検討する、の4段階で計画し、初年度は(2)まで行う予定であった。対象は卵巣明細胞腺癌105例であり、まず詳細にHE標本をレビューした。その結果、腫瘍全体的が腺線維腫成分であった2例を除いて全例で典型的な明細胞腺癌の所見(複雑な乳頭状構造、管状嚢胞状構造、充実性増殖、淡明な細胞質またはホブネイル細胞、強い核異型)を認め、診断に間違いがないことを確認した。核分裂数は強拡大10視野中平均6.2個であった。子宮内膜症との合併は80例、腺線維腫との合併は26例にみられた。続いて一部の症例で酸化ストレスマーカーの免疫染色を行い、陽性細胞数と染色強度の和 total score (TS)として評価した。COX2は明細胞腺癌の全例で発現を認めTSの平均値は5.9(最小値4から最大値8)、iNOSは94%の症例で発現を認めTSの平均値は3.9(最小値0から最大値6)であった。8OHdGは100%の症例で発現し、TSの平均値は5.5(最小値2から最大値8)であった。以上の結果より、明細胞腺癌は強い酸化ストレスにさらされていることが示唆された。現在、研究概要の2段階目の終盤である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の概要は(1)明細胞腺癌のHE標本をレビューし、詳細な病理組織所見を記録する。特に腫瘍発生にかかわる子宮内膜症や腺線維腫の所見を注意深く抽出する。(2)酸化ストレスのマーカーである8-OHdG、iNOS、COX2を免疫染色し、HE所見から得られた病理組織所見と比較検討する。(3)腫瘍発生に関連すると思われる遺伝子(PIK3CA, ARID1A, PDGFR, TGF-beta RII, LH/hCGR)の異常を検索する。(4)病理組織所見(特に子宮内膜症や腺線維腫)、酸化ストレスマーカーの発現、遺伝子異常の関係について検討する、の4段階で計画し、初年度は(2)まで行う予定であった。8-OHdG、iNOS、COX2を免疫染色をするにあたりその染色条件の決定が当初は順調にいかず実験のやり直しを繰り返したが、染色過程において抗原賦活方法を工夫することで良好な染色条件を決定することができた。全4段階中2段階目がまもなく終了する予定であり、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の概要は(1)明細胞腺癌のHE標本をレビューし、詳細な病理組織所見を記録する。特に腫瘍発生にかかわる子宮内膜症や腺線維腫の所見を注意深く抽出する。(2)酸化ストレスのマーカーである8-OHdG、iNOS、COX2を免疫染色し、HE所見から得られた病理組織所見と比較検討する。(3)腫瘍発生に関連すると思われる遺伝子(PIK3CA, ARID1A, PDGFR, TGF-beta RII, LH/hCGR)の異常を検索する。(4)病理組織所見(特に子宮内膜症や腺線維腫)、酸化ストレスマーカーの発現、遺伝子異常の関係について検討する、の4段階で計画し、初年度でほぼ2段階目まで終了した。次年度は、初年度のHE標本レビュー結果をもとに適切な病変からマイクロダイセクションを行ってDNAを抽出し、目的の遺伝子異常を解析する予定である。病理組織像、酸化ストレスマーカーの免疫染色所見、腫瘍発生にかかわると思われる遺伝子異常のデータを出したのち、これらの関係性を検討し、論文にまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の実験はマイクロダイセクションや分子生物学的解析が中心となる。実際にはマイクロダイセクションに必要な特殊なプレパラートや、DNA抽出、プライマーの設定、PCR、遺伝子変異の解析、などを行うにあたり、大量の試薬、器具、消耗品が必要となる。また学会発表、論文発表にともなう経費が必要になる。これらに研究費を使用する予定である。
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