研究概要 |
大分大学医学部付属病院および研究協力機関において手術により切除された終末期腎癌(RCC-ESRD)63症例を用いた。各組織型別にゲノムDNAを回収し、アレイCGH解析を行った。63症例の主要組織型についてのclusteringを施行したところ、RCC-ESRD63症例は大きく2つのsubgroupに分かれた。一群はCCRCCが主体、もう一群はPRCC, ACD-associated RCCやClear cell papillary RCCなどが混在していた。更にそれぞれのCluster毎にAveraged frequencyを作成すると、ゲノムプロファイルはそれぞれsporadic CCRCC, sporadic PRCCに類似していた。更に、2群間でACDKを背景に持つ割合や透析歴が有意に異なる事が分かった。透析期間毎に解析すると、透析歴10年以下と20年以上では明らかにゲノム異常が異なっていることから、透析期間によってRCC-ESRDのgenotypeは影響を受けることが分かった。組織学的にはPRCC, ACD-associated RCCやClear cell papillary RCCなどは異なるとされているが、これらの組織型はゲノムプロファイルからは類似していることが分かった。更に、RCC-ESRD患者の検体に存在するsimple cyst12例とatypical cyst7例において同様にアレイCGH解析を行ったところ、simple cystではゲノム異常は殆ど無いが、atypical cystではRCC-ESRDで認める7pq, 16pq, 20qを同様に認めた。従って、ゲノムプロファイルからみても、atypical cystはPRCCやACD-associated RCCの前癌病変である可能性が示された。
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