研究概要 |
化学療法の進歩と共に高度進行胃癌に対して術前化学療法を施行する症例が増加しているが、病理組織学的に治療効果が得られる症例と乏しい症例があり、必ずしも全ての症例に対して化学療法が有効であるわけではなく、その詳細は不明である。そこで、治療効果の差異をエピジェネティクな異常と細胞周期関連蛋白等の発現の差異から検討し、進行胃癌に対する術前化学療法の治療効果関連因子を見出し、生検から治療効果予測システムを確立することを目的に研究をおこなった。今年度は術前にDCS療法が施行された27例の生検組織と手術組織を対象とし、ホルマリン固定パラフィン包埋ブロックから、連続切片を15枚作成し、切片の一部を用いて下記の抗体に対する免疫組織化学染色を施行した。A) Ki67, B) ss-DNA, C) Bax, D) TS, E)EGFR, F) Her2, G) LAT1, H)ERCC1。対象症例を治療効果別に治療反応群(治療効果:Grade1b, 2, 3)と治療抵抗群(治療効果:Grade0, 1a)の2群に分類し、それぞれの発現と差異を検討した。現在までの解析結果では生検組織において、治療反応群は治療抵抗群に比して、Ki-67LI, ssDNA LI, LAT1 scoreが高い傾向が見られたが、現時点では有意差は見られなかった。今後も結果の解析と追加の免疫染色を施行する予定である。また手術組織切片からArcturus社PixcellIIeを用いてLaser Captured Microdissection(LCM)を行い、分離・採取し、抽出カラム(Qiagen社、DNA mini kit)を用いて癌細胞のDNAを抽出した。現在DNAのメチル化を施行するために条件などを検討中である。
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