研究概要 |
近年化学療法の進歩により術前補助化学療法のレジメや適応が大きく変化しており、当施設においても術前化学療法(DCS療法)が行われている。 しかし、治療効果が得られる症例群(治療効果群) と治療効果が無効または乏しい症例群 (治療抵抗群)があり、治療に関連した因子はまだ不明な点が多い。そこで治療効果関連因子を解明することを目的に、細胞増殖能、アポトーシス関連蛋白、癌の発育や進展に寄与すると考えられている腫瘍型アミノ酸トランスポーターLAT1(L-type amino acid transporter-1)等の発現を検討した。 術前DCS療法施行胃癌35例の治療前生検組織と治療後手術組織をそれぞれ用い、Ki67, ssDNA, Bax, LAT1等発現を免疫染色レベルで評価した。治療効果群と治療抵抗群間で比較した。治療効果群は抵抗群に比して、有意に生検組織でLAT1の高発現を示した。また手術組織においても治療効果群では有意にLAT1が高発現を示したが、有意にKi-67LIが低値であった。LAT1の発現は、進行胃癌に対する化学療法の治療効果を予測する上で、有用なマーカーになりうる可能性が示唆された。
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