研究課題/領域番号 |
23790418
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
楊 浩 慶應義塾大学, 先導研究センター, 特任助教 (10464992)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 神経 / プリオンタンパク / SGSMファミリータンパク / RABファミリータンパク |
研究概要 |
SGSM(Small G protein Signaling Modulator)ファミリーは、RABファミリーおよびRAPファミリーと相互作用し、シグナル伝達および小胞輸送に関与することが報告された。SGSMファミリーはRABファミリーを介して、プリオンタンパクの小胞輸送を制御し、ヒトの遺伝性プリオン病の発症機序に関与することが考えられる。 ヒトプリオン遺伝子cDNAの全長ORF(Open Reading Frame)をクローニングし、p3XFLAG-CMV-7.1ベクターに挿入した。FLAGタグ付加したプリオンタンパクを強制発現させ、抗FLAG抗体を用いた免疫沈降を行った後、数種の抗RABタンパク抗体を用いて、Western Blotの手法でプリオンタンパクと相互作用するRABタンパクを確認した。また、作製したウサギ抗SGSM2抗体、市販のマウス抗プリオンタンパク抗体および様々な細胞小器官マーカー抗体を用いて、内在性のSGSM2およびプリオンの細胞内局在を確認した。抗SGSM2抗体、抗プリオンタンパク抗体および様々な輸送小胞のマーカー抗体を用いた共免疫染色を行い、SGSM2およびプリオンと輸送小胞との相互作用を確認した。また抗SGSM2抗体と数種の抗RABタンパク抗体を用いた共免疫染色を行い、SGSM2タンパクがRABタンパクと部分的に共局在することは確認された。ヒトSGSM遺伝子(SGSM1/2/3)cDNAのORFをそれぞれpACTベクターに、ヒトRAB遺伝子cDNA(RAB2A/3A/4A/5A/6A/7A/8A/9A/10/11A/23/24/27A/31A/39B)のORFをそれぞれpBINDベクターに組み込み、Check-Mate Mammalian Two-Hybrid Systemを用いて、SGSMタンパクとRABタンパクとの相互作用を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトプリオン遺伝子cDNAをクローニングし、免疫沈降の手法でプリオンタンパクと相互作用するRABタンパクを確認した。また、共免疫染色の手法を用いて、SGSM2タンパク、プリオンタンパクおよび輸送小胞の細胞内局在および相互作用を確認した。ヒトSGSMファミリー遺伝子および数種のRAB遺伝子をクローニングし、Mammalian 2-hybrid systemを構築して、SGSMタンパクとRABタンパクとの相互作用を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
H23年度構築したMammalian 2-hybrid実験系を利用し、残る代表的なRABファミリーメンバーを全部クローニングし、SGSMファミリータンパクとの相互作用を測定する。SGSMタンパクがプリオンタンパクの輸送に関与すると予想されたため、RNAi法を用いて、SGSMタンパクおよびRABタンパクに対する機能阻害実験を行い、プリオンタンパクおよび関連する神経伝達物質の輸送の制御機序を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究用の試薬およびプラスチック器具の購入に120万円、成果発表の旅費に30万円を使用する予定である。
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