SGSMファミリータンパク(SGSM1/2/3)は、RUNドメイン、TBCドメインを併せ持ち、RAPを介した細胞内シグナル伝達経路およびRABを介した小胞輸送システムを統合的に制御し、プリオンタンパクの小胞輸送に関与することが考えられる。 H23年度の実験結果に基づいて、小胞輸送におけるSGSM2の機能をさらに解析した。細胞免疫染色により、SGSM2はプリオンタンパク輸送に関与するRAB11と共局在するが、RAB6/9とは共局在しないことが分かった。Mammalian Two-Hybrid Systemおよびin vitroアッセイでSGSM2と相互作用を示したRAB3/4/5/7/8/24/27/31/32/33Bについて、細胞免疫染色により、SGSM2と共局在しないことが分かった。また、コレラ毒素(CTxB)を用いてエンドサイトーシスアッセイを行ったところ、SGSM2を強制発現させた細胞では、CTxBのエンドソームからゴルジ装置への輸送が阻害された。一方、RUNドメインを欠失したSGSM2の部分欠失変異体を強制発現させたところ、CTxBのゴルジ装置への輸送が阻害された。これらの結果から、SGSM2のTBCドメインは、エンドソームからゴルジ装置までの細胞内小胞輸送系に必須であることが示唆された。RAPタンパクの活性型変異体および不活性化型変異体を作成し、強制発現させ、エンドサイトーシスアッセイを行ったところ、活性型変異体がCTxBのエンドソームからゴルジ装置への輸送を阻害することが分かった。また、RAPタンパクの活性型変異体を強制発現させた細胞においてSGSM2の発現をノックダウンしたところ、CTxBがゴルジ装置まで輸送されたことから、RAPタンパクがSGSM2を介して細胞内逆行性輸送に関与することが分かった。
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