研究課題
我々は「肺癌における免疫染色を用いた新しいEGFR(上皮増殖因子受容体)遺伝子変異検出法の確立」に関して133肺癌患者のデータ解析を行った.免疫染色とDNA遺伝子変異解析の一致率は陽性判定患者94.6%および陰性判定患者90.6%であり,高い一致率を示した.さらにEGFR遺伝子変異抗体を用いて原発巣と播種巣の解析した結果,再発肺癌患者において,(1)耐性遺伝子を伴う肺癌患者,(2)EGFR遺伝子変異のみを伴う肺癌患者,(3)EGFR遺伝子変異を伴わない肺癌患者のように3群に分けることができた.本検討の中で細胞材料の判定不可能が多いことが判明したため,固定法によるEGFR遺伝子変異およびEGFRタンパク発現の影響を調査した.15%中性緩衝ホルマリンとCytoRich Redに固定したヒト肺癌培養細胞は,EGFR遺伝子変異特異的抗体に強陽性を示したが,CytoRich Blue と95%エタノール固定液は弱陽性であった.SurePath細胞保存液のDNA保持は15%中性緩衝ホルマリンより優れていたが,EGFR遺伝子変異およびFISH解析は,すべての固定液において良好な結果を得た.胸水中の腺癌細胞において,細胞質抗原は固定後40日間経過しても比較的安定していたが,核内抗原はすべての固定液で発現率の減少を示した.CytoRich RedはEGFR遺伝子変異特異的抗体を用いた免疫細胞化学だけでなく,細胞材料を用いたDNA解析にも適していた.EGFR-TKI治療におけるEGFR遺伝子変異の検出はDNAによる解析が主流であるが,EGFR遺伝子変異抗体を併用したEGFR遺伝子変異検出アルゴリズムは,EGFR-TKI治療を迅速に投与でき,医療費の削減や患者治療に役立つ新しい迅速な検出方法である.そのためには,がん細胞の固定法に充分留意すべきである.
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (14件)
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