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2011 年度 実施状況報告書

ポリオーマウイルスの新たな遺伝子発現制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23790429
研究機関北海道大学

研究代表者

大場 靖子  北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 特任助教 (60507169)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードウイルス / 脳神経疾患
研究概要

本研究では、ヒトポリオーマウイルスであるJCウイルス(JCV)の遺伝子発現制御機構の一つとして、JCV感染細胞においてウイルス由来の長鎖non-coding RNAが発現される可能性を検討し、発現が確認出来た場合、それらが宿主細胞内にてウイルス増殖を制御するメカニズムを解明することを目的としている。平成23年度は、ウイルス由来の長鎖RNAの発現を確認するため、感染細胞より回収したRNAを用いてノーザンブロッティング法により長鎖RNAを含むウイルス由来RNAの検出を試みた。JCVゲノムは約5kbの二本鎖環状DNAであり、一方の鎖に早期遺伝子、その相補鎖に後期遺伝子がコードされている。それぞれの鎖に対するRNAプローブを作成し、ウイルス由来RNAに対するノーザンブロット法を行った結果、ウイルスタンパク質のmRNA以外に、10kb前後の長さの後期方向のRNAを数本検出した。このことから、JCVゲノムからはウイルス各タンパク質のmRNA以外に、後期方向にゲノム全長である一巻以上の長鎖RNAが転写されていることが判明した。また、この長鎖RNAをクローニングするために、5'-または3'-RACE法により長鎖RNAの末端配列を増幅しシークエンスにより解析を試みた。その結果、3'端は後期遺伝子mRNAと同様のpolyA siteであると考えられた。5'端に関しては、数か所の遺伝子部位が検出され、一様ではない可能性が示唆された。これらの結果から、JCV感染細胞では後期遺伝子方向のpolyA配列を超えて転写される長鎖のRNAが存在することが明らかとなった。次年度はこの長鎖RNAの機能について解析を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度の実施計画に示した研究を計画通り実施した。

今後の研究の推進方策

ウイルスゲノムより転写される長鎖RNAが、早期、後期ウイルス遺伝子発現にどのような影響を及ぼすのかを検討するため、長鎖RNAの培養細胞内発現系もしくはin vitro合成で作成したRNAを用いて、長鎖RNA発現下での早期、後期ウイルスmRNA発現ならびにタンパク質発現量を検討する。また、ウイルス感染時に発現する長鎖RNAの発現を抑制するため、ウイルスmRNAの発現に影響しない領域で長鎖ncRNAに対するsiRNAを作成し、感染細胞に導入して、長鎖RNA発現抑制によるウイルスタンパク質発現への影響を検討する。長鎖RNAがウイルスタンパク質発現に関与していることが判明した場合、作用機序の解明を試みる。長鎖RNAがウイルス遺伝子のプロモーター領域に作用し、転写調節している可能性や、ウイルス遺伝子の転写後調節に関与している可能性を検討するため、ウイルスmRNAのスプライシング効率や翻訳効率の検討を行う。長鎖RNAのウイルス増殖への影響が確認できなかった場合、ウイルス増殖を反映するレポーターウイルスを作成しウイルス遺伝子の転写、翻訳に関与する細胞内機構をsiRNAライブラリを用いて網羅的に解析する。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度の経費の節減の結果生じた使用残については、次年度研究費と合わせ、上記研究遂行に必要な試薬、消耗品費として使用する。また、上記研究の結果、研究成果を報告できる場合、国内学会参加の旅費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Detection and characterization of a novel polyomavirus in wild rodents.2011

    • 著者名/発表者名
      Orba Y, Kobayashi S, Nakamura I, Ishii A, Hang'ombe BM, Mweene AS, Thomas Y, Kimura T, Sawa H.
    • 雑誌名

      Journal of General Virology

      巻: vol.92 no.4 ページ: 789-795

    • DOI

      10.1099/vir.0.027854-0

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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