• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

周囲組織環境との相互作用によるATL細胞のサバイバル機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23790430
研究機関北海道大学

研究代表者

宮武 由甲子  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10421984)

キーワードHTLV-1 / ATL / 癌幹細胞 / CD44 / 細胞間相互作用
研究概要

ヒトT細胞白血病ウイルス‐1(HTLV-1)は、成人T細胞白血病(ATL)やHTLV-1関連脊髄症(HAM)などの疾患を引き起こす。ATLはその非常に強い皮膚などへの臓器浸潤性や化学療法抵抗性によって未だ有効な治療法が確立されておらず、現在、HTLV-1濃感染国である我が国において、極めて予後の悪い白血病の一つとなっている。よって、ATLの有効な治療法を確立するためには、このような治療抵抗性を獲得するメカニズムを解明して詳細に理解することが不可欠である。
我々は、周囲微小環境を形成する正常上皮細胞にはATLL患者由来白血病/リンパ腫細胞(ATL細胞)の生存を保護する働きがあることを見出した。ATL細胞は正常上皮細胞との接着によって、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤で誘導されるアポトーシスを阻止し、さらにNKG2Dを介したNK細胞による細胞傷害を抑制した。正常上皮接着ATL細胞では、p21Cip1やCD25の発現抑制、細胞周期静止期細胞の増加を認め、正常上皮細胞上にコロニーを形成するATL細胞の一部は、CD44やビメンチンの発現亢進を認めた。このような現象は線維芽細胞に接着したATL細胞では認められなかった。以上の結果より、正常上皮細胞の宿主保護作用が結果的にATLの病態の進展を助長している可能性が示唆された。ATL細胞が正常上皮細胞との接着によって「がん幹細胞様の特性」を獲得し、結果的に「がん細胞の温存」へとつながっているという新しい概念は、ATLLのみならず、他の難治性造血器腫瘍に対する治療抵抗性の克服にも応用可能であろうと考える。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Protective roles of epithelial cells in the survival of adult T-cell leukemia/lymphoma cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Miyatake Yukiko
    • 雑誌名

      The American Journal of Pathology

      巻: 182 ページ: 1832-1842

    • DOI

      10.1016/j.ajpath.2013.01.015.

    • 査読あり
  • [学会発表] Contact with epithelial cells induces cancer stem cell-like properties in adult T-cell leukemia/lymphoma cells.2012

    • 著者名/発表者名
      宮武 由甲子
    • 学会等名
      第41回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県)
    • 年月日
      20121205-20121207
  • [学会発表] 上皮細胞は接着している成人T細胞白血病細胞を細胞静止状態にして保護する2012

    • 著者名/発表者名
      宮武 由甲子
    • 学会等名
      第71回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      ロイトン札幌(北海道)
    • 年月日
      20120919-20121021
  • [学会発表] 成人T細胞白血病における上皮細胞の潜在的役割2012

    • 著者名/発表者名
      宮武 由甲子
    • 学会等名
      第92回北海道医学大会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      20120908-20120908
  • [学会発表] 成人T細胞白血病(ATL)の病態における上皮細胞の役割の検討2012

    • 著者名/発表者名
      宮武 由甲子
    • 学会等名
      第101回日本病理学会総会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都)
    • 年月日
      20120426-20120428

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi