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2012 年度 実績報告書

膵島細胞間のVEGFシグナル破綻による糖尿病発症機構

研究課題

研究課題/領域番号 23790431
研究機関千葉大学

研究代表者

河村 治清  千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70527902)

キーワードVEGF / SDTラット
研究概要

膵β細胞から産生されるVEGFは、膵島に豊富に存在する毛細血管網の形態構築や機能維持に重要な役割を果たしている。一方、血管内皮細胞も様々な生理活性物質を産生し、膵β細胞の機能調節に関与している。申請者らはこれまでに自然発症糖尿病モデル動物SDTラットを解析し、VEGFの過剰シグナルが糖尿病発症の原因になっているという新たな機序を発見した。本研究では、その分子機構を明らかにすることと、これらの膵β細胞・血管内皮細胞相互作用の異常が糖尿病発症にどれだけ普遍的に寄与しているかを検討することを目的とする。これまでにSDTラットにおいてVEGFシグナルの亢進が血管内皮細胞に生じていることを明らかにしたが、今回膵β細胞からのVEGF分泌を週齢別に検討したところ、膵島異常が生じている13週齢では対照ラットに比してSDTラットで有意に増加していたが、膵島異常がみられる直前の5週齢では対照ラットと変わりなかった。そこで、膵β細胞からの別の候補因子としてIL-1βの分泌を検討したところ、5週齢よりSDTラットで著明に増加していることが今回明らかとなった。VEGFシグナルを阻害するチロシンキナーゼ阻害薬によりSDTラットの糖尿病発症は抑制されることから、VEGFシグナル亢進により生じる血管機能・構築の破綻が膵β細胞に虚血を起こすことにより後天的にVEGF分泌を増やしており、それによりさらに血管内皮細胞でのVEGFシグナルを亢進するという過剰なVEGFシグナルサイクルがSDTラットで生じており、それが糖尿病発症に寄与していることが今回初めて明らかにされた。また、他の糖尿病モデル動物ではチロシンキナーゼ阻害薬による糖尿病発症抑制は認められなかったことから、血管炎症を主体とする糖尿病のサブタイプにおいてこのような過剰なVEGFシグナルが生じている可能性が示された。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Incidence and characteristics of metabolic disorders and vascular complications in Werner syndrome patients in Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Okabe E, Takemoto M, Onishi S, Ishikawa T, Ishibashi R, He P, Kobayashi K, Fujimoto M, Kawamura H, Yokote K
    • 雑誌名

      J Am Geriatr Soc

      巻: 60(5) ページ: 997-998

    • DOI

      doi:10.1111/j.1532-5415.2012.03944.x.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Japanese diabetic patients with Werner syndrome exhibit high incidence of cancer2012

    • 著者名/発表者名
      Onishi S,
    • 雑誌名

      Acta Diabetol

      巻: 49 ページ: 259-260

    • DOI

      10.1002/biof.1038.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sitagliptin successfully ameliorates glycemic control in werner syndrome with diabetes2012

    • 著者名/発表者名
      Kitamoto T
    • 雑誌名

      Diabetes care

      巻: 35 ページ: e83

    • DOI

      10.2337/dc12-1179

    • 査読あり
  • [学会発表] 我が国のウェルナー症候群患者における代謝異常および心血管疾患の解析

    • 著者名/発表者名
      河村 治清
    • 学会等名
      日本内科学会 第587回関東地方会
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] 2型糖尿病症例における血管内皮機能に影響を及ぼす因子の検討

    • 著者名/発表者名
      北本 匠
    • 学会等名
      第55回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      横浜
  • [学会発表] 炎症性腎障害に対するシロスタゾール/プロブコールの保護作用

    • 著者名/発表者名
      賀 鵬
    • 学会等名
      第55回腎臓病学会
    • 発表場所
      横浜
  • [学会発表] ウェルナー症候群における糖尿病と悪性腫瘍の相関解析

    • 著者名/発表者名
      河村 治清
    • 学会等名
      日本内科学会 第588回関東地方会
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] 炎症性腎障害に対するシロスタゾール/プロブコールの保護作用

    • 著者名/発表者名
      賀 鵬
    • 学会等名
      第44回 日本動脈硬化学会 総会 学術集会
    • 発表場所
      福岡
  • [学会発表] 高intact PTH血症を契機に発見されたビタミンD欠乏症の1例

    • 著者名/発表者名
      岩田 裕子
    • 学会等名
      第56回 日本老年病学会関東甲信越地方会
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] 腎糸球体ポドサイトの炎症性障害に対するシロスタゾール/プロブコールの相加的保護作用

    • 著者名/発表者名
      賀 鵬
    • 学会等名
      第27回 日本糖尿病合併症学会
    • 発表場所
      福岡
  • [学会発表] 腎糸球体ポドサイトの炎症性障害に対するシロスタゾール/プロブコールの相加的保護作用

    • 著者名/発表者名
      賀 鵬
    • 学会等名
      第24回日本糖尿病性腎症研究会
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] 糖尿病治療を契機として有症状ビタミンB1欠乏症を発症した一例

    • 著者名/発表者名
      駒井 絵里
    • 学会等名
      第50回 日本糖尿病学会関東甲信越地方会
    • 発表場所
      横浜
  • [図書] Modern Physician2012

    • 著者名/発表者名
      河村 治清
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      新興医学出版社

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公開日: 2014-07-24  

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