Blnk(Bash/SLP-65)はB細胞における癌抑制遺伝子として知られている。小児B-ALLにおいてBLNKの欠損があることが知られているが、マウスでノックアウト行ってもB-ALLの発症頻度は低く、腫瘍発症にはその他の協調遺伝子の存在が考えられている。我々は、これまでにレトロウイルス変異導入システムを用いて、Blnk欠損に協調的に働く遺伝子としてCebpbを同定した。CebpbはLAPとLIPの2つのアイソフォームを持つことが知られている。LAPとLIPのトランスジェニックマウスとBlnk欠損マウスを交配させることによって、LAPトランジェニックかつblnk欠損マウスを作成すると、早期にB-ALLを発症した。また、ALL未発症のマウス骨髄において、Blnkko/ko/LAPtgでは成熟B細胞の数の減少が見られ、IL-7Rα強陽性の割合が増加していることが明らかとなり、B細胞の成熟障害が背景にあることが考えられた。さらに、ヒトのB-ALL細胞株においても、C/EBP〓をノックダウンさせることで、細胞の増殖を抑えることが明らかとなった。これらのことより、Blnk欠損とC/EBP〓LAPが協調的にB-ALL発症に関与することが明らかとなり、このことはヒトB-ALLにも応用可能であると思われる。
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