小細胞肺癌はその強力な転移能ゆえに最も予後不良な癌の一つとなっており、転移機構の解明は治療成績改善のために極めて重要である。本課題では、ヒト小細胞肺癌をマウス肺に接種して多臓器に遠隔転移させるモデル系を新たに開発し、転移機構の解析を行った。その結果、本モデルに用いた小細胞肺癌由来細胞株が、細胞の運動を促進する因子HGFを自己分泌することが判った。HGFの自己分泌は臨床の小細胞肺癌でも見られる現象であり、本モデルの妥当性を示している。 また、転移巣から癌細胞を回収して再度接種することを繰返し、より転移能が高い亜株も樹立した。この亜株を利用して、モデルの遠隔転移頻度を向上させることが出来た。
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