研究課題
成人T細胞白血病 (ATL)は、HTLV-1の感染後数十年を経て発症する極めて悪性度の高い末梢性T細胞腫瘍である。HTLV-1のtax遺伝子をlck近位プロモーター下に発現させるトランスジェニックマウスはATLと同様の白血病(mATL)を発症する。我々は、癌幹細胞を標的としたATL治療法を開発するためにTax Tgマウスを用いて癌幹細胞で特異的に発現している分子の同定を試み、Cadherinを新たなmATLがん幹細胞のマーカーとして同定した。Cadnerinは非がん幹細胞での発現がほとんど見られず、mATLがん幹細胞に特異的に発現しており、mATL細胞によって起こる白血病の良い治療標的になることが考えられた。そこで、抗体医薬による治療を試みるために、この分子に対する特異的なモノクローナル抗体の作製を試みた。まず、モノクローナル抗体を作成するためにコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて、抗原となるCadherinの合成を試みた。Cadherinは巨大な膜タンパク質であり抗原を得ることが難しいことから、活性に重要なN末領域のみを合成した。条件を至適化し、大量合成をして最終的に3.6mgの精製タンパク質を得た。さらに、このタンパク質をマウスに免疫し、常法によりモノクローナル抗体を作成した。一次スクリーニングとして免疫に用いたタンパク質を抗原としたELISAを行い、41クローンのモノクローナル抗体を得た。更に細胞膜上に存在する分子を認識する抗体を選択するために293T細胞の細胞表面上にCadherinのN末領域を発現させ、フローサイトメーターによってモノクローナル抗体の選択を行った。その結果、計12クローンのモノクローナル抗体を得ることに成功した。これらのモノクローナル抗体は、マウスにてmATL発症を抑制することが期待される。
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