研究課題
肺腺がん症例の肺切除検体より得られた非がん肺組織検体Nとがん組織T各189検体、対照として正常肺組織C36検体を用いて、イルミナ社Infinium HumanMethylation27 BeadChip Kitによる網羅的DNAメチル化解析を行った.NはCに比してDNAメチル化状態が有意に異なっており、がん症例の非がん肺組織はDNAメチル化異常を伴う前がん状態であると考えられた。NのDNAメチル化プロファイルを用いて、163症例について教師なし階層的クラスター解析を行ったところ、喫煙程度と背景肺の炎症状態・がんの悪性度の異なる複数のクラスターに分類された.喫煙と慢性炎症の観点より、肺腺がんの複数の発がん経路が推察された。アレイによるDNAメチル化状態とリアルタイムRT-PCRより、クラスター特異的に発現変化する遺伝子を特定した。これらの遺伝子をヒト肺がん由来の培養細胞に導入して、増殖・浸潤能の変化を検索している。続いて、肝炎ウイルス関連肝細胞がん手術検体より採取した非がん肝組織36検体ならびに肝細胞がん組織24検体、対照として転移性肝がん症例より得られた正常肝組織36検体のInfinium HumanMethylation450 BeadChip Kitによる網羅的DNAメチル化解析を行った。前がん状態にある慢性障害肝組織に既に生じ、肝細胞がん組織に受け継がれるDNAメチル化異常を示すプローブは21106プローブあった。DNAメチル化異常はHBV感染肝に比してHCV感染肝に多く、HBV感染肝はDNAメチル化減弱が、HCV感染肝はDNAメチル化亢進が優位であった。HCV特異的なDNAメチル化異常が存在していた。現在培養細胞や分離肝細胞とのDNAメチル化プロファイル比較を行い、ウイルス感染・慢性炎症によってDNAメチル化が誘発され発がんに寄与する分子機構の解明を進めている。
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