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2011 年度 実施状況報告書

糖ペプチドを用いた腸管寄生原虫による糖鎖認識機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23790460
研究機関長崎大学

研究代表者

加藤 健太郎  長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50508885)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード原虫 / 粘膜糖鎖
研究概要

本年度は赤痢アメーバレクチンの糖鎖認識機構を合成糖ペプチドを用いて明らかにするための研究ならびに実験系の構築を行った。 ヒトムチン2(MUC2)のアミノ酸配列を元に合成した MUC2 糖ペプチドのプレートへの固相化は予備実験段階ではあるが、住友ベークライト株式会社の推奨する方法で行うことができた。 赤痢アメーバレクチンを大腸菌ならびに昆虫細胞ライセート(無細胞系)を用いて発現させようと試みたが、糖鎖認識能を有する組換え型タンパク質を得ることができなかった。そのため、赤痢アメーバレクチンが局在する細胞膜を回収し、後の研究に用いることとした。得られた赤痢アメーバ細胞膜が実際に糖鎖に対して親和性を有するか確認するために糖鎖がヒト血清アルブミン(HSA)に結合した人工糖タンパク質(GalNAc)19-HSAあるいは(Gal-GalNAc)22-HSAをプレートにコートし、赤痢アメーバ細胞膜とインキュベートした。その結果、赤痢アメーバ細胞膜上に存在するレクチンによって HSA 上の糖鎖が認識された。このことより、赤痢アメーバ細胞膜上のレクチンが糖タンパク質に結合するという実験系を構築でき、今後の合成糖ペプチドによる接着阻害実験を行うことが可能となった。 実際に赤痢アメーバ感染感受性の異なるマウス3系統から腸管粘膜糖タンパク質を粗精製し、本実験系を用いて接着阻害実験を行ったところ、感染感受性の高いマウス系統由来の糖タンパク質の接着阻害能が最も高かった。このことは赤痢アメーバ感染感受性が宿主糖タンパク質により規定されることを示唆していると同時に本実験系が赤痢アメーバレクチンの接着阻害実験に適していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度計画していた以下の点について自己評価を行った。1.MUC2糖ペプチドのプレートへの固相化は予備実験段階ではあるが住友ベークライト株式会社推奨の方法により行うことができた。2.組換え型腸管寄生原虫レクチンの発現に関しては、組換え型赤痢アメーバレクチンは得られたものの糖鎖認識能を有しておらず非常に苦労した。組換え型レクチンの代替として赤痢アメーバ原虫からレクチンの局在する細胞膜を得ることができ、その細胞膜上のレクチンに糖鎖認識能が認められた。このことにより来年度以降に用いる実験系の構築を行うことができたことは満足できる。しかしながら、クリプトスポリジウムレクチンの大腸菌による発現は行ったものの糖鎖認識能を調べられていないことから、来年度は早急に組換え型クリプトスポリジウムレクチンの糖鎖認識能を調べ、万が一無い場合はクリプトスポリジウムの細胞膜を得る必要があると考える。以上の点より現在まではおおむね実験計画通りに順調に進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

赤痢アメーバ細胞膜の人工糖タンパク質に対する接着を56種類の合成糖ペプチドで阻害することができるか検証し、有意に阻害能が高い合成糖ペプチドを用いて in vitro ならびに in vivo で赤痢アメーバ感染阻害実験を行う。 クリプトスポリジウムに関しては組換え型レクチンあるいは細胞膜を調製して赤痢アメーバに関して行うのと同様な実験を進める。

次年度の研究費の使用計画

主に原虫ならびに大腸菌を培養する際の培養関連消耗品や高価な人工糖タンパク質購入に使用する予定である。また、合成糖ペプチドを固定するためのプレートや検出抗体の購入も行う。 研究推進のための試料調製ならびに解析を委託した場合や論文校正を依頼した場合の謝金も必要である。 本成果の一部を国内外の学会や論文として発表する際の費用も必要である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [学会発表] マウス腸管ムチンの糖鎖構造に関する研究2012

    • 著者名/発表者名
      加藤健太郎、武川泰啓、篠原康郎、濱野真二郎
    • 学会等名
      第81回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      兵庫医科大学西宮キャンパス(兵庫県)
    • 年月日
      2012年3月24日
  • [学会発表] 赤痢アメーバの感染性がマウス系統間で異なるのは何故?2012

    • 著者名/発表者名
      加藤健太郎
    • 学会等名
      感染症若手フォーラム
    • 発表場所
      「やすらぎ伊王島」海の見えるホテル(長崎県)
    • 年月日
      2012年2月4日
  • [学会発表] マウス腸管ムチンの糖鎖構造に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      加藤健太郎、濱野真二郎
    • 学会等名
      第80回日本寄生虫学会大会・第22回日本臨床寄生虫学会大会
    • 発表場所
      東京都慈恵会医科大学(東京都)
    • 年月日
      2011年7月17日
  • [学会発表] A comparative study on glycosylation patterns of mucus glycoproteins among three mouse strains2011

    • 著者名/発表者名
      加藤健太郎、武川泰啓、濱野真二郎、篠原康郎
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011年12月14、15日
  • [学会発表] A comparative study on glycosylation patterns of mucus glycoprotein among three mouse strains2011

    • 著者名/発表者名
      加藤健太郎
    • 学会等名
      第19回分子寄生虫学ワークショップ
    • 発表場所
      神戸市立神戸セミナーハウス(兵庫県)
    • 年月日
      2011年10月23日
  • [図書] 感染症事典2012

    • 著者名/発表者名
      感染症事典編集委員会(共著)
    • 総ページ数
      619
    • 出版者
      オーム社

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公開日: 2013-07-10  

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