Mycobacterium tuberculosis(結核菌)は細胞内寄生性細菌であり、貪食したマクロファージ内で増殖することができる。結核菌の細胞内増殖能はファゴリソソーム形成を阻害することによって獲得している。また、マクロファージは結核菌の細胞内増殖能をオートファジーによって制御している。すなわち、飢餓や薬剤、サイトカインなどによって誘導されたオートファジーによって、マクロファージは感染結核菌の細胞内増殖を阻害することできることが示されている。マクロファージにおける結核菌へのファゴリソソーム形成阻害過程やオートファジー誘導機構に関して、よく研究されてるが、樹状細胞における結核菌ファゴソームの小胞輸送機構に関する知見はほとんどない。本研究において、結核菌感染樹状細胞におけるオートファゴソーム形成機構について調べた。樹状細胞に結核菌を感染させると、結核菌ファゴソームにオートファジーマーカータンパク質であるLC3とオートファジーアダプタータンパク質であるp62が局在した。p62局在結核菌ファゴソームはポリユビキチン化され、さらに、リソソームマーカータンパク質であるLAMP1や抗原提示分子であるMHCクラスII分子が局在した。オートファジー誘導阻害剤である3-MAやオートファジー関連遺伝子であるAtg5、Beclin1のノックダウンによって、結核菌ファゴソームへのp62局在化やポリユビキチン化は阻害されなかった。一方で、p62のノックダウンによって、結核菌ファゴソームのポリユビキチン化は阻害された。以上の結果は、樹状細胞において感染結核菌にp62を介したオートファジー誘導機構によってオートファゴソームが形成されることを示唆する。
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