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2011 年度 実施状況報告書

既存血清型では分類できない腸管出血性大腸菌の網羅的解析

研究課題

研究課題/領域番号 23790477
研究機関宮崎大学

研究代表者

井口 純  宮崎大学, IR推進機構, 助教 (00437948)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード腸管出血性大腸菌
研究概要

2007年から2010年に日本で分離された腸管出血性大腸菌(EHEC)で、既存のO抗原型では分類できない菌株(OUT)についての解析を行った。2008年に宮崎県において血便を呈した患者より分離されたEHEC OUT株のO抗原コード領域(約11 kb)の配列を決定して相同性検索をおこなったところ、既にデータベースに登録されているShigella boydii type 10のO抗原コード領域と高い相同性があった。本菌がS. boydii type 10のO抗原抗血清と凝集することが確認でき、本菌とS. boydii type 10が同一抗原を発現していると考えられた。上記で述べたO抗原コード領域を特異的に検出するPCR法を開発し、2007年から2010年に分離されたEHEC OUT株21株に対してPCRを行ったところ、11株で特異的なバンドが検出され、その全ての株がS. boydii type 10のO抗原抗血清と凝集した。11株のうち2株は下痢患者より分離されており、それ以外は無症状者由来であった。全12株の制限酵素XbaI消化によるパルスフィールドゲル電気泳動パターンの解析を行ったところ、家族内感染であると予想された3株と2株を除いては、バンドパターンに明らかな違いがあり、株間の疫学的な関連性は無いと判断されたことから、OSB10と名付けたS. boydii type 10と同一抗原を発現するEHEC OUTグループが日本各地に広がっていると予想された。OSB10グループは下痢症や出血性大腸炎などの症状を引き起こす可能性があり、本グループの今後の動向に注意が必要であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに不明であったEHEC OUT株の菌株解析を行い、公衆衛生において重要だと考えられる新しいEHECグループの存在を明らかにすることが出来た。そのグループに対して、申請時に掲げた「EHEC OUTの遺伝学的な解析を行い、その情報を基に対象菌株を特異的に検出するマーカーを考案する」という目標も達成できた。

今後の研究の推進方策

これまでの研究を踏まえ、今後は以下の研究を実施する。・EHEC OUT(OSB10)グループについて、日本国内におけるさらに広範囲での調査および国外研究機関との連携により世界的な流行調査を実施する。・EHEC OUT(OSB10)代表株の全ゲノム解析を行い、既報のEHECゲノムとの比較解析により類似点および相違点を明らかにする。・上記以外のEHEC OUTの遺伝学的・生化学的な特徴の解析を行う。

次年度の研究費の使用計画

・研究費の多くをゲノム解析およびEHEC OUT株のO抗原コード領域塩基配列解析のための消耗品に費やす。・研究成果をまとめて国際学会で発表および学術誌に投稿するために使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Emergence of a Novel Shiga Toxin-producing...2011

    • 著者名/発表者名
      Iguchi A, Iyoda S, Seto K, Ohnishi M.
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Microbiology

      巻: 49 ページ: 3678-3680

    • DOI

      10.1128/JCM.01197-11

    • 査読あり
  • [学会発表] 既存の血清型では分類できない腸管出血性大腸菌の解析2011

    • 著者名/発表者名
      井口純
    • 学会等名
      第32回日本食品微生物学会学術総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011.10.6-7

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公開日: 2013-07-10  

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