研究課題/領域番号 |
23790478
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
小椋 義俊 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助教 (40363585)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 志賀毒素 / 腸管出血性大腸菌 |
研究概要 |
腸管出血性大腸菌O157(以後、O157)の主要な病原因子は志賀毒素(Stx1とStx2)である。志賀毒素はN-グリコシダーゼ活性により真核生物の28SリボゾームRNAを切断し、タンパク質合成を阻害する。他方、志賀毒素は大腸菌実験室株に対しても毒性を示し、増殖を抑制する。申請者は、O157では、志賀毒素を過剰発現させても細胞増殖にはほとんど影響しないこと、O157のゲノムライブラリー中に大腸菌実験室株(K-12)への志賀毒素の毒性を抑制するクローンが存在することを見いだした。本研究課題では、O157が有する志賀毒素耐性機構を解明することを目的とする。O157のゲノムライブラリー中に見いだしたK-12へのStx1の毒性を抑制するフォスミドクローンについて、DNAを精製し、インサート両端のシーケンシングを行い、クローニングされているO157ゲノム領域の特定を行った。その結果、主に3つの領域がクローニングされていることが明らかとなった。領域1は12クローン、領域2は10クローン、領域3は7クローン存在した。残りの7クローンは、別々のゲノム領域がクローニングされていた。まずは、複数のフォスミドにクローニングされていた3領域について、詳細な解析を行うことにした。各領域について、複数のクローンが共通にカバーしている領域を調べたところ、領域1は5遺伝子、領域2は7遺伝子、領域3は4遺伝子が共通に含まれている遺伝子として同定できた。現在、志賀毒素耐性に関わる遺伝子を特定するため、これらの遺伝子をそれぞれ個別に発現ベクターへクローニングしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
志賀毒素耐性化に関わる領域が複数箇所存在することを想定していなかったため、当初の計画よりも若干遅れているが、それほど大きな問題は生じていないため、次年度は予定通りに計画を遂行できると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
志賀毒素耐性化に関わる遺伝子を特定し、機能解析を行うと共に、志賀毒素耐性化のメカニズムを解明する。また、他の病原性大腸菌や常在性大腸菌への保存性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、志賀毒素耐性遺伝子の特定が完了しなかったため、その実験に必要なクローニングや相補実験などの分子生物学的実験に必要な試薬を次年度に使用する。また、次年度では、志賀毒素耐性化に関わる遺伝子の機能解析を行うために、クローニングなどの分子生物学的実験に使用する試薬のほか、蛋白質精製や相互作用の解析など生化学的な実験に必要な試薬や器機類を使用する。また、他の菌株への分布を調査するために、菌株の分離同定、及びPCRやシーケンシングに必要な試薬を使用する予定である。
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