研究課題/領域番号 |
23790490
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
本田 尚子 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (40600911)
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キーワード | 結核 / 抗酸菌 / 休眠 / 再燃 / 細菌 |
研究概要 |
結核菌は世界の人口の1/3に感染し、感染者の10%が生涯のいずれかの時期に発症する。日本の年間罹患者は約2万人であり半数は70歳以上の高齢者の再燃による。結核菌は人に感染後、発症の有無に関わりなく一定の割合で増殖を停止し休眠状態へ移行する。数十年にわたり休眠状態で潜在感染した菌は、高齢化等に伴い増殖を再開し発症する。既存の抗生物質の効かない休眠菌を殺菌することは、結核再燃対策および結核の抗生物質による治療の短期化に重要であるが、休眠誘導、休眠の維持、再増殖に到る機構の詳細は不明である。1960年代に分離されたストレプトマイシン(SM) 要求性のM. tuberculosis 18b株は、16S rRNAに1塩基挿入変異があり、SM存在下で増殖し、SM非存在下では数回の分裂の後増殖を停止する。SMの添加により増殖を再開することから、休眠現象のモデルとして利用されつつあり、近年休眠期にも殺菌作用を示す新規抗菌薬のスクリーニングに用いられている。しかしP3実験室を有する施設は限られることから、結核菌18b株と同一の変異の挿入されたワクチン株であるMycobacterium bovis BCGを用いて、結核菌18b株と同様のSM依存性を示すかSauton培地および7H9、7H10培地において解析した。SM非存在下で増殖の停止したSM依存性BCG株を用いて、抗生物質感受性を比較し、休眠期のモデルとなるか解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
24年度にスクリーニングで得た休眠制御候補遺伝子について過剰発現株を作成し、低酸素下の生存率を野生株と比較したが、差が認められなかったために計画が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ストレプトマイシン要求株について、タンパク質合成におけるストレプトマイシンの作用を解析する。ストレプトマイシンのない培地で増殖の停止したストレプトマイシン要求株が、各種抗生物質へ抵抗性を示し、休眠モデルとして使用可能か検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画に遅れが生じ、スクリーニング結果の個別の解析に必要となる予定の試薬費等を使用することができなかったため。 ストレプトマイシン要求性BCG株の遺伝子、タンパク質の発現解析、薬剤感受性解析および抗酸菌タンパク質の酵素活性の測定等に使用する。
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