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2012 年度 実施状況報告書

エボラウイルスの宿主細胞への侵入に関与する宿主因子の網羅的同定

研究課題

研究課題/領域番号 23790493
研究機関北海道大学

研究代表者

南保 明日香  北海道大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (60359487)

キーワードエボラウイルス / 侵入 / エンドサイトーシス / 人獣共通感染症
研究概要

エボラウイルス感染は極めて高い致死率を伴う重篤なエボラ出血熱を惹起することから、早急に制圧しなくてはならない感染症の一つであるが、現時点においてエボラウイルス感染に対する有効な治療法は実用化されていない。エボラウイルスに対する抗ウイルス薬の開発において、ウイルス侵入過程は特に魅力的な標的の一つであることから、侵入機構の分子レベルでの解明は非常に意義深いと考えられるが、エボラウイルスの侵入における分子機構の詳細についてはまだ不明な点が多い。本研究課題においては、siRNAライブラリを用いたハイスループットスクリーニング系を確立し、この系を用いてエボラウイルスの侵入過程において重要な役割を果たす宿主
因子の網羅的同定を行うことを最終目的としている。そこで第一に申請者の確立した可視化系を基盤とし、ハイコンテンツイメージングシステムを用いたハイスループットスクリーニング系の確立を試みている。
先行研究から、エボラウイルス侵入は複数の過程から構成されることが明らかになっている。現在、以下に示す方法で各過程の定量化を試みている。1.エボラウイルス粒子の細胞表面への吸着については、細胞表面において検出されるウイルス粒子由来の蛍光シグナルを定量する。2.マクロピノサイトーシスを介したウイルス粒子の細胞への取込み、および、3.取り込まれたウイルス粒子のエンドソームへの輸送については、マクロピノサイトーシスによって生成されるエンドソーム(マクロピノソーム)および後期エンドソーム特異的マーカーであるSNX5およびRab7にeGFPを融合したタンパク質をそれぞれVero-E6細胞に発現させ、ウイルス粒子との共
局在の効率を定量化する。4.ウイルス粒子のエンベロープとエンドソーム膜との融合については、Rab7陽性エンドソ―ムにおける蛍光シグナルの強度およびその挙動を調べることで定量化する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現時点において、エボラウイルス粒子の細胞への取込みを直接的に解析する生細胞イメージング系を基盤としたスクリーニング系はほぼ確立している。平成24年度は米国および国内の研究協力者との打ち合わせを行い、共同研究における連携も問題なく進行している。また、クリーニングを実行するために必須であるハイコンテンツイメージングシステムが平成24年度に本学創薬科学研究教育センターに設置されたため、現在、当該機器を用いてスクリーニング系の最適化を試みている状況である。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策を以下に示す。
現在、本学創薬科学研究教育センターに設置されたハイコンテンツイメージングシステムを用いて、前年度確立したスクリーニング系の最適化を試みている。最適化完了後はライブラリを用いたsiRNAハイスループットスクリーニングを実行する予定である。スクリーニングの結果、得られた各種候補宿主因子についてさらに以下に示す解析を進める。第一に、これらの宿主因子が実際にエボラウイルス侵入に関与するか否かを、BSL4施設において野生型エボラウイルスを用いた感染系を用いて検証する。また、エボラウイルス侵入における各種宿主因子の役割についてウイルス因子との相互作用を中心に解析を行い、その分子機構の解明を試みる。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費の使用計画は以下の通りである。
次年度の研究費(80万円)のうち60万円は、ハイコンテンツイメージングを用いたハイスループットスクリーニングの最適化およびこれを用いたsiRNAスクリーニングの実行のための特殊プレートや細胞培養のための消耗品類の購入に用いる。また、国内の研究者との研究打ち合わせおよび研究成果発表のための旅費として20万円を計上する予定である。
なお、執行残金317,884円の内訳は以下の通りである。このうち316,750円は平成24年度に実施したスクリーニング系の確立のための支払に使用する。経費の節減の結果生じた使用残1,134円に関しては、平成25年度に実施するスクリーニング系の最適化に使用する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The spatio-temporal distribution dynamics of Ebola virus proteins and RNA in infected cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Nanbo A, Watanabe S, Halfmann P, and *Kawaoka Y.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 3 ページ: 1206

    • DOI

      10.1038/srep01206

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Roles of Cell Signaling Pathways in Cell-to-Cell Contact-Mediated Epstein-Barr Virus Transmission.2012

    • 著者名/発表者名
      Nanbo A, Terada H, Kachi K, Takada K, Matsuda T.
    • 雑誌名

      J Virol.

      巻: 86 ページ: 9285-9296

    • DOI

      10.1128/JVI.00712-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] EBV- associated Gastric Carcinoma.2012

    • 著者名/発表者名
      Iizasa H., †Nanbo A., Nishikawa J., and Yoshiyama H. EBV- associated Gastric Carcinoma.
    • 雑誌名

      Viruses

      巻: 4 ページ: 3420-3439

    • 査読あり
  • [学会発表] The roles of cell signaling pathways in cell-to-cell contact-mediated Epstein–Barr virus transmission

    • 著者名/発表者名
      Asuka Nanbo, Haruna Terada, Kunihiro Kachi, Kenzo Takada, and Tadashi Matsuda
    • 学会等名
      The Biennial Conference of the International Association for Research on Epstein-Barr Virus and Associated Diseases
    • 発表場所
      Sheraton Philadelphia Downtown Hotel(米国)
  • [学会発表] 細胞間接触を介した上皮細胞へのEBV伝播機構における細胞内情報伝達系の関与

    • 著者名/発表者名
      南保 明日香、寺田 晴奈、加地 邦宏、高田 賢蔵、松田 正
    • 学会等名
      第9回EBウイルス研究会
    • 発表場所
      米子市文化ホール(鳥取)
  • [学会発表] 感染細胞におけるエボラウイルスタンパク質およびRNA細胞内動態の時空間的解析

    • 著者名/発表者名
      南保明日香、渡邊真次、Peter Halfmann、河岡義裕
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪)
  • [学会発表] 細胞間接触を介した上皮細胞へのEBV伝播機構における細胞内情報伝達系の関与

    • 著者名/発表者名
      南保 明日香、寺田 晴奈、加地 邦宏、高田 賢蔵、松田 正
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪)
  • [学会発表] 感染細胞におけるエボラウイルスタンパク質およびRNA細胞内動態の時空間的解析

    • 著者名/発表者名
      南保明日香、渡邊真次、Peter Halfmann、河岡義裕
    • 学会等名
      Negative Strand Virus, Japan
    • 発表場所
      沖縄ラグナガーデンホテル(沖縄)
  • [学会発表] エボラウイルスの宿主細胞への侵入機構の解明

    • 著者名/発表者名
      南保明日香
    • 学会等名
      第3回Vivid Workshop –細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング-
    • 発表場所
      瑠璃光(石川)
  • [備考] 北海道大学プレスリリース

    • URL

      http://www.hokudai.ac.jp/news/130219_pr_pharm.pdf

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公開日: 2014-07-24  

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