研究課題/領域番号 |
23790502
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福原 崇介 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (70598739)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | C型肝炎ウイルス / IL28B |
研究概要 |
C型慢性肝炎患者に対するインターフェロンによる抗ウイルス治療に強く相関する宿主遺伝子多型としてIL28B遺伝子が同定され臨床応用されつつあるが、その1塩基多型によってどのようにIFN治療感受性が規定されているかは不明である。近年報告されている新たな遺伝子のノックアウト方法としてZinc Finger Nucleaseテクノロジーがある。これは、特異的な遺伝子配列に結合するZinc Finger蛋白とNuclease蛋白のキメラ蛋白質を発現させることで、特異的な遺伝子をノックアウトする手法である。これらの蛋白質発現が一過性に起こるように制御することでAllele特異的にノックアウトすることも可能である。In vitroでHCVが感染しうる細胞株であるHuh7はIL28B遺伝子多型がヘテロタイプでMajorおよびMinor alleleを保持することが明らかになった。そこで、Huh7のIL28B遺伝子をAllele特異的にノックアウトすることを試みた。Huh7細胞は19番染色体が3本に倍加しており、IL28B遺伝子はMajor allelleが1本とMinor alleleが2本存在することが判明した。これまでにMajor allele特異的なノックアウトHuh7細胞が樹立され、刺激に応じて発現するIL28B遺伝子はMinor allele由来のみになっていることが確認された。現在、IL28B遺伝子のMinor allele特異的ノックアウト細胞とMajorおよびMinor alleleの両方がノックアウトされた細胞の樹立を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IL28B遺伝子と高い相同性を持つIL28A遺伝子が存在し、今回用いているZinc Finger Nucleaseでは両方の遺伝子が切断されるため、通常の遺伝子ノックアウトよりも困難な手法になっている。しかし、Homologous Recombination等の手法を用いておおむね順調にノックアウト細胞の樹立ができている。
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今後の研究の推進方策 |
IL28B遺伝子のMinor allele特異的なノックアウト細胞およびMajorとMinorの両Alleleのノックアウト細胞を樹立し、各種刺激時のIL28B遺伝子発現量やHCVの感染性に対するIL28B遺伝子多型の意義を明らかにする。ノックアウト細胞の遺伝子変化を網羅的に解析するために、cDNA microarrayを行う。また、肝臓内に浸潤してきているリンパ球とのクロストークに対するIL28B遺伝子多型の意義を明らかにするために、末梢血単核球との共培養系を用いた検討も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品としては、培養器具のみならず、HCVの感染性を評価する定量PCR用の試薬やcDNA microarrayに関連する試薬等が必要である。また、研究業績を国内および海外の学会で発表するための旅費が必要である。論文投稿時に校閲や投稿費用が必要である。
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