研究課題/領域番号 |
23790504
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
末永 忠広 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20396675)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 水痘帯状疱疹ウイルス / 膜融合 / エントリー / グリコプロテインB (gB) |
研究概要 |
筆頭研究者らが、以前同定した、神経組織特異的VZVエントリーレセプターであるMAGとは別に、VZVが宿主への最初の侵入門戸のひとつとする血球系細胞のレセプターを同定することを目的とした。MAGとの相同性検索から、血球系細胞表面に発現しているVZV グリコプロテインB (gB)のレセプター候補分子を挙げ、それら分子から、VZV gB免疫グロブリン融合タンパク質との結合の有無を検討する事によって、VgBR2を同定した。さらに、VZV gB, gH, gL発現細胞とVgBR2発現・非発現細胞を用いた、膜融合アッセイによって、VgBR2非発現細胞では膜融合が起こらないのに対して、VgBR2発現細胞は、gB, gH, gL発現細胞との高効率の膜融合を認めた。 一方、VgBR2非発現であるコントロール細胞が、VZV感染抵抗性であるのに対して、VgBR2強制発現細胞は、VZV感受性となった。さらに、gBとVgBR2の結合を阻害することによって、VgBR2強制発現細胞及びVgBR2を発現している血球細胞におけるVZVの感染は、特異的に抑制された。 筆頭研究者らの研究により、MAGを介する、VZVの感染は、VZV上、MAG発現細胞すなわち宿主細胞上の糖鎖修飾にも依存していることが明らかとなってきた(Suenaga et. al. 論文準備中)。VgBR2はMAGとの相同検索から、同定した分子であるので、gBとVgBR2との結合、この結合を介したVZVの感染においても、糖鎖の関与が考えられる。実際、gB上、VgBR2上の糖鎖認識に必須なアミノ酸、両者の結合に関わる糖鎖そのものの構造も明らかになりつつある。 さらに、gBレセプターのみならず、gHレセプターも、現在同定・解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プライマリーの血球細胞を調整すること自体に時間を要する上、これらの細胞での感染は、VgBR2強制発現細胞ほど、単純なメカニズムではない。この一因として、上記で述べた、宿主細胞側における糖鎖修飾にあることが明らかとなってきた。この宿主細胞の糖鎖修飾メカニズムを明らかにすることは、当初の研究計画には含まれていなかったが、これを明らかにすることも、本研究の目的を達成する上では重要でありかつ時間を要するものである。 また、次年度の研究計画に含まれる、VZVの膜融合機構の追究に用いる実験系の立ち上げにも着手しているが、これまでの細胞、gB, gH, gL分子だけでは不十分である事が判明し、また、この実験系に用いる顕微鏡などの機材の能力も不足していることがわかった。これらの複数の要因を、全てではなくとも改善すれば、実験が可能となる。新たな細胞、分子発現系、分子同定試薬などを検討することにも、予想以上の時間が費やされている。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、交付申請書の研究計画に沿った形で進めて行く。 しかし、上記に述べた問題点である、実験に要する血球細胞を、筆頭研究者自身の血液のみに依存するだけでなく、他の実験ボランティアから収集することとする。実験のための血液サンプル採取に関して、本大学の研究倫理委員会の了承を得た。また、ヒューマンフロンティア財団などから、バイオリソースとして、細胞を入手可能とすべく、当該財団の倫理委員会に、現在申請中である。 一方、VZVの膜融合機構の追究における、顕微鏡機材に関しては、大学内の他研究室所有で、より高性能の機材を使用させてもらう運びとなり、ハード面での実験阻害因子はクリアされるものと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 研究計画には、下記に列記するような種々の遺伝子のクローニングおよびそれを用いた各種リコンビナント蛋白、トランスフェクタントや抗体の作製、遺伝子改変ウイルス作製が必要であり、下記の費用が必要である。組かえウイルス作製用試薬、培地、細胞の精製のための抗体、カラム、磁気ビーズ 種々のIg融合蛋白の作製 、fusion assay用試薬、容器、糖鎖構造の解析等。また実験に用いるプラスチック培養器、培養試薬、抗体等が必要になる。2. 本研究のための情報収集、研究打ち合わせ、成果発表のために国内旅費が必要である。3. その他通信費、研究成果発表費用が必要である。 基本的には、上記の通り交付申請書の研究計画に沿った形で進めて行く。ただし、ヒューマンフロンティア財団などから、バイオリソースの提供を受ける際の経費としては、本年度の繰り越し分を、これに充当する。
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