研究課題
これまでhalopemideがC型肝炎ウイルス(HCV)産生を抑制すること、これは宿主phospholipase D (PLD)阻害を介した効果であることを示唆している。そこでPLDがどのように感染性HCV産生を制御しているのかに関して解析をおこなった。まずPLD阻害剤halopemide処理によりHCV粒子形成には影響を及ぼさず、HCV放出を低下させること、またこの際宿主分泌タンパク質であるアポリポタンパク質やアルブミン放出は変化させないことより、PLDはHCV粒子放出を特異的に阻害していることが示唆された。またhalopemideによりPLDを阻害した細胞においてはHCV coreタンパク質がゴルジに蓄積していることが観察された。これらのことより、PLDはゴルジからのHCV放出を制御している可能性が示唆された。一方halopemideの誘導体解析により、halopemideよりも強く感染性HCV粒子産生を抑制する化合物を同定した。これらはさまざまな遺伝子型の構造領域を有するHCVの放出を同様に阻害することが示された。またPLD阻害剤は経時的なHCVの感染の広がりを顕著に抑制すること、既存薬であるインターフェロンとの併用により抗HCV効果が上昇することが明らかとなった。以上のように本研究ではHCV放出過程を宿主PLDが制御していること、PLD阻害剤はこれまでとは作用点が異なる新たな抗HCV剤候補となりうることが考えられた。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (31件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)
Hepatology
巻: 59 ページ: 1726-1737
Biochem Biophys Res Commun
巻: 443 ページ: 808-813
J Gen Virol
巻: 95 Pt 1 ページ: 60-65
Int J Mol Sci
巻: 15 ページ: 2892-2905
10.3390/ijms15022892
巻: 440 ページ: 515-520
PLoS Pathog
巻: 9 ページ: e1003589
PLoS One
巻: 8 ページ: e68992
J Am Chem Soc
巻: 135 ページ: 18949-18956
10.1021/ja410145x
J Biol Chem
巻: 288 ページ: 31715-31727
10.1074/jbc.M113.501122
薬学雑誌
巻: 133 ページ: 1169-1175
