研究課題
若手研究(B)
本研究では、デングウイルス(DENV)による出血熱発症メカニズムを免疫学的に解析し、デング熱の重症化リスクファクターおよび出血熱の病態を解明することを目的とする。具体的には、FcγR発現細胞を用いてフラビウイルス患者血清における抗体依存性感染増強(ADE)活性を検討した。デングウイルスおよび日本脳炎ウイルス(JEV)患者またはJEVワクチン被接種者から経時的に採取した血清を用いてADE活性を検討した。DENV患者の急性期血清においては、ADE活性が認められた。しかし、後期の血清には中和活性が認められた。さらに、JEV患者血清を用いてDENVと同じフラビウイルス科に属するJEVによるDENVに対する免疫応答を検討した。JEV患者血清では、DENVに対するADE活性が認められたが、DENVに対する交叉中和活性が認められなかった。さらに、JEVワクチン被接種者から採取された検体を用いたところ、DENVに対する中和活性は認められなかった。以上の結果により、DENVと同じフラビウイルス科であるJEVによる感染およびJEワクチン接種による誘導された抗体は、DENVに対しADE能を有するが示唆された。しかし、DENVに対する交叉中和能が認められなかった。以上の結果により、デングウイルスと交叉反応を示す抗フラビウイルス抗体はDENV感染において重要な役割を有することが示唆された。
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