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2012 年度 実績報告書

新しいヒトパピローマウイルス産生系を用いたウイルス増殖サイクルの解析

研究課題

研究課題/領域番号 23790517
研究機関独立行政法人国立がん研究センター

研究代表者

中原 知美  独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (60601177)

キーワードパピローマウイルス / ゲノム複製 / ATM / NFκB / 子宮頸がん
研究概要

ウイルスの生活環を研究するためには、実験室内でウイルスの増殖サイクルを再現することが必須である。発がんウイルスであるヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)の増殖は、感染宿主である角化細胞の分化に依存しているため、培養細胞から感染性ウイルス粒子を得ることができない。本研究は、本来表皮形成の終盤でしかおこらないHPVゲノムの大量複製(後期複製)を、人為的な操作で誘導できるウイルス産生細胞を確立することにより、培養角化細胞から感染性HPV粒子を簡便に調製する方法を開発し、得られた感染性ウイルス粒子を用いて実験室内でHPV増殖サイクルを再現することにより、HPV生活環の分子基盤を明らかにすることを目的としている。
HPV潜伏持続感染様の培養角化細胞を樹立し、その細胞にテトラサイクリン発現誘導系を用いてウイルス複製因子E1およびE2の過剰発現を誘導することにより、HPVゲノム大量複製の誘導を行った。結果、培養角化細胞において、人為的な操作によりHPVゲノム大量複製を誘導することに成功した。しかし、ゲノムコピー数は、E1・E2発現誘導後24時間をピークとしてそれ以上に増加しなかった。またE1の発現に伴って、角化細胞の増殖が抑制されることを見つけた。より大量のウイルス粒子産生を達成することを目的とし、引き続きE1・E2発現によるゲノム複製が誘導後24時間程度で鈍化する分子機構について検討した。結果、E1のヘリカーゼ活性に依存して、DNA損傷修復系の主要なキナーゼであるATMおよびNFκBが活性化し、それらの活性化はウイルスゲノム複製に対して抑制効果があることが分かった。一方でこれらの因子は、E1による角化細胞の増殖抑制には関与していなかった。今後はこれらの知見に基づいて、より大量のウイルス粒子を産生できる培養系を確立したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] A cellular factor involved in suppression of E1-dependent replication of human papillomavirus 16 (HPV16) in proliferating keratinocytes2012

    • 著者名/発表者名
      中原 知美
    • 学会等名
      28th International Papillomavirus Conference and Clinical Workshop
    • 発表場所
      サンファン、プエルトリコ
    • 年月日
      20121130-20121206
  • [学会発表] ヒトパピローマウイルス16型(HPV16)のE1ヘリカーゼ依存的ゲノム複製に対する細胞応答2012

    • 著者名/発表者名
      中原 知美
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      グランキューブ大阪
    • 年月日
      20121113-20121115
  • [学会発表] Trappc6はヒトパピローマウイルスの侵入に必要な宿主タンパク質である2012

    • 著者名/発表者名
      石井 克幸
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      グランキューブ大阪
    • 年月日
      20121113-20121115
  • [学会発表] The E1 protein of Human Papillomavirus Type 16 Is Dispensable for Maintenance Replication of The Viral Genome2012

    • 著者名/発表者名
      中原 知美
    • 学会等名
      遺伝子病制御研究所研究集会
    • 発表場所
      北海道大学医学部フラテ会館
    • 年月日
      20120618-20120619
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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