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2011 年度 実施状況報告書

エンテロウイルス71感染マウスモデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23790518
研究機関(財)東京都医学総合研究所

研究代表者

藤井 健  (財)東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (10580201)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードEV71 / 遺伝子改変マウス / 神経病原性
研究概要

エンテロウイルス71(EV71)は手足口病の原因ウイルスの一つであり、神経疾患を伴うウイルスとしてポリオウイルス根絶後の重要なウイルスの一つとして認識されつつある。しかしその病原性発症機構はいまだ明らかになっていない。EV71受容体であるヒトSCARB2をマウスで発現させれば、ヒトでの感染様式と病態を模したEV71感受性マウスを作製できるとの考えからヒトSCARB2発現トランスジェニックマウスとヒト型SCARB2発現ノックインマウスの作製に取り掛かった。ヒトSCARB2発現トランスジェニックマウスの作製を終了し、6系統のトランスジェニックマウスを得ることができた。得られたトランスジェニックマウスのヒトSCARB2発現部位をウエスタンブロット法と免疫組織化学法により解析したところ、おおむねヒト体内での発現分布と類似であることが明らかになった。特に中枢神経系においては神経細胞が最も強く染色され、発現レベルが高いことが推測された。次にEV71/Isehara/Japan/99株を脳内接種したところ4系統で四肢の弛緩性麻痺や運動失調などの神経症状を示した。また神経症状発現マウスの脳および脊髄で高いウイルス力価を示した。更に組織染色により脳および脊髄の神経細胞にウイルス抗原を検出した。一方、ヒト型SCARB2ノックインマウスは作製できたが、異常なヒト型SCARB2転写産物の割合が多く、結果的にEV71に対して感受性を示さないことが明らかになった。以上よりヒトSCARB2発現トランスジェニックマウスはEV71の感染が成立すること、そして弛緩性麻痺または運動失調などの神経症状を呈することを見出した。これらの知見からヒトSCARB2トランスジェニックマウスはEV71神経病原性発現機構解析のためのモデル動物として有用であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度はEV71感受性マウスの作製を目的をして2種類の遺伝子改変マウスの作製を遂行した。1つ目のヒトSCARB2発現トランスジェニックマウスの作製は終了し、その性状解析も進んでいる。更にEV71に対して感受性であり、かつ神経症状を呈することから本研究の最終目標である「エンテロウイルス71感染マウスモデルの構築」に向けて着実に研究が進展していると考えられる。一方、ヒト型SCARB2ノックインマウスも作製が終了し、系統の拡大・維持を行うところまで進んだが、スプライシング異常によりヒト型SCARB2転写産物の割合が極端に少ないため、結果としてEV71に対して感受性を示さないことが明らかになった。以上のようにヒト型SCARB2ノックインマウスを用いた解析は問題が生じたが、ヒトSCARB2発現トランスジェニックマウスの解析が進んでいることから本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

EV71感染マウスの病態解析 ヒト型SCARB2ノックインマウスに関してはスプライシング異常の原因を追求して新たなマウスを作製することが正当な手段であるが、トランスジェニックマウスが良い成績を残していることからノックインマウスの作製は一時中断し、トランスジェニックマウスを用いてヒトでの感染様式と病態を模したEV71感受性マウスを選定する。選定のために以下の項目に重点を置き解析を行う。1)神経症状の有無、2)ウイルス増殖の有無、3)脳内の神経細胞への感染 方法1)ヒトSCARB2を発現させた遺伝子改変マウスへのEV71接種、2)神経症状の観察および生死判定、3)体内でのウイルス力価の測定、4)病理解析(国立感染症研究所・永田先生との共同研究)、5)ヒト臨床検体及びサル感染実験結果とマウスの病態比較(マラヤ大学Wong先生、国立感染症研究所・清水先生、永田先生との共同解析)、6)系統間での感受性の比較EV71感染モデルマウスの選定および系統維持 ヒト臨床検体及びサル感染実験結果との比較からよりヒトの病態に近いヒトSCARB2発現遺伝子改変マウスの系統を選別しEV71感染モデルマウスとしてその系統を維持する。

次年度の研究費の使用計画

本研究を推進するにあたり細胞培養実験と分子生物学的実験は必須であり、その実験試薬等の購入を予定している。また作製した遺伝子改変動物の維持費のための物品費を計上する予定である。また今年度は成果発表をすべく国際学会への参加も予定しているため、旅費も多く計上する。更に論文作成・投稿のための英文校閲代、投稿料が必要である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] エンテロウイルス71感染モデルマウスの作出2012

    • 著者名/発表者名
      藤井健、山吉誠也、小池智
    • 学会等名
      感染症若手フォーラム
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      20120202-20120204
  • [学会発表] EV71感染受容体ヒトSCARB2発現マウス作出の試み2011

    • 著者名/発表者名
      藤井健、山吉誠也、設楽浩志、多屋長治、小池智
    • 学会等名
      第15回日本神経ウイルス研究会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      20110516-20110520

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公開日: 2013-07-10  

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