研究課題
本研究ではGATA3の翻訳後修飾に着目し、Th2細胞分化のマスター転写因子であるGATA3がどのようにTh2細胞の分化を制御しているのか包括的に理解するとともに、アレルギー疾患に対する新たな治療戦略を提唱することを目的とする。平成24年度は、下記の研究を行った。2-1. in vitro Kinase AssayによるGATA3リン酸化酵素の同定と機能解析申請者はin vitro Kinase AssayによりGATA3会合分子の中にGATA3をリン酸化するKinaseが含まれている事を確認していた。GATA3に会合している分子のうち、どのバンドがGATA3をリン酸化しているのか、リコンビナントGATA3タンパク質を含むGelにGATA3複合体を展開し、in GelでKinase Assayを行った結果、約55kDa付近にGATA3特異的リン酸化酵素が存在することを明らかにした。現在、質量分析によりGATA3リン酸化酵素を同定中である。2-2. 新規に同定された機能的なGATA3の翻訳後修飾の機能解析Th2細胞の中でGATA3が受けるR261が、Th2細胞からのIL-5産生に重要である事を昨年度見出した。本年度はその分子メカニズムの解明を目指し、メチル化状態をミミックしたGATA3変異体を作製し、その機能解析を行った。メチル化GATA3はIL-5プロモーターに結合出来るが転写活性化を誘導できず、複合体形成能を調べると、クロマチンオーガナイザーであるSATB1との結合ができない事、Hsp60との会合が増強されていることをLC-MS/MS解析により明らかにした。これらの結果から、GATA3のメチル化状態や複合体の形成を制御することが、IL-5産生を特異的に抑制する、副作用の少ないアレルギー疾患の新たな治療法開発につながる可能性が示唆された。
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