研究課題
私は現在まで、CD4陽性T細胞を用いて、ポリコーム群(PcG)およびトライソラックス群(TrxG)複合体やその標的遺伝子Gata3による転写制御機構に関する研究を行ってきた。平成24年度も前年度に引き続き、上記分子のChIP-seq解析を中心としてゲノムワイド規模での機能解析を遂行した。GATA3の役割に関しては、タンパクレベルでの制御を行う分子について論文を2報発表した。また、Th2細胞機能維持におけるGATA3の役割の網羅的解析もほぼ終了し、論文を投稿中である。PcGおよびTrxG複合体に関しては、数報の論文が投稿中および投稿準備中であるが、学会発表は国内外で数回行った。最終年度の研究成果を研究実施計画に即して以下に記述する。1.PcG/TrxGによる転写因子結合の制御機構の解析(1)T細胞受容体シグナルによる発現変動遺伝子の網羅的解析:CD4 T細胞、Th2細胞、Th17細胞における発現変動遺伝子をDNAマイクロアレイにより解析し、研究対象の遺伝子の絞り込みを行った。(2)上記(1)で得られた遺伝子座における、PcG/TrxGおよびRNAPII結合パターン解析:Th17細胞におけるIl17a遺伝子はTrxG複合体の構成因子であるMeninが結合すること、Menin欠損により発現低下が起こることが分かった。また、Menin欠損型ではこの領域でRNAPIIの集積が障害されることが分かった。2.Menin遺伝子欠損マウスを用いたin vivo免疫応答の解析:気道炎症モデルによるin vivo免疫応答の解析については、Th17細胞を移入する系を用い、Menin欠損型移入マウスの肺胞洗浄液中に浸潤する好中球数の減少が見られた。さらに、肺胞洗浄液中のサイトカイン定量や肺の組織染色の結果も上記を支持するものであり、Menin欠損によりアレルギー性喘息が軽減されると結論づけた。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
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