研究課題/領域番号 |
23790527
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
浅野 純平 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特任助教 (70463809)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | オートファジー |
研究概要 |
これまでの研究で我々は腸管膜リンパ節やパイエル板等のGALTに存在する樹状細胞では、iE-DAP (Nod1リガンド)、MDP (Nod2リガンド) による刺激でオートファジー誘導の指標であるオートファゴソームの形成が促進する事を見出していた。これらの知見はNodシグナルがオートファジーの誘導を介して、定常状態ならびに炎症状態においてGALTの恒常性維持や炎症性腸疾患(IBD)の誘導制御に貢献している可能性をうかがわせる。 昨年度は予備的な実験によりiE-DAP、MDPの刺激でin vivoにおける抗原提示が増強することを抗原特異的T細胞の増殖亢進で確認した。さらにiE-DAPを投与した野生型マウスの小腸粘膜固有層ではTh1細胞の分化低下が認められ、NodシグナルがGALTの恒常性維持に関わることが示された。これらの結果を踏まえIBD誘導時におけるNodシグナルの役割に関して重点的に検討した。野生型、Nod1-/-、Nod2-/-、さらにNod1-/-Nod2-/-マウスにDSSを投与し急性腸炎を誘導させ、定法に従い、生存、下血、腸組織炎症像、腸の長さなどを指標に重篤度の評価を行ったがいずれもこれらマウス間で違いが認められなかった。一方で腸管上皮特異的にオートファジー誘導遺伝子を欠損させたマウス (Villin-Cre Atg5-flox/flox) ではDSS誘導による腸組織の炎症程度は野生型マウスに比較して著しく弱いことが確認され、腸管上皮におけるオートファジーが積極的にIBD誘導に関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究実施計画に掲げた項目は概ね実施されていることから。
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今後の研究の推進方策 |
腸管上皮特異的にオートファジー誘導遺伝子を欠損させたマウス (Villin-Cre Atg5-flox/flox) を用いて定常状態、ならびに炎症状態における上皮特異的なオートファジーの役割を重点的に明らかにしていく予定である。 一連の実験により野生型マウスとの間で違いが認められた部分についてはNodシグナルとの関連性を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験用マウス、FACS用抗体、ELIZAキット、一般試薬類等の消耗品の購入に充てる予定である。
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