研究課題
腸管樹状細胞(DC)における構成的オートファジーの生理的役割を明らかにすることを目的として研究を遂行し、以下の成果を得た。ATG5-floxマウスとCD11c-creマウスを交配し、DCのみオートファジーが誘導されないATG5-DCKO(cKO)マウスを作製し、定常状態における腸間膜リンパ節DC内の腸内常在菌を検出、同定したところ、いずれのマウス由来DCにおいてもEnterococcusが検出されたが、その菌体数はcKOマウスの方が多かった。常在菌捕捉とオートファジーの関連性を解明するために、オートファジー関連分子LC3-GFPマウス由来DCとEnterococcusを共培養したところ、DC内に捕捉された常在菌はすべてLC3分子に覆われていたことから、構成的オートファジーは常在菌の捕捉により誘導されることが判明した。炎症状態におけるDCオートファジーの役割を解明する目的で、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)の飲水投与による炎症性腸疾患モデルを適用し検討をおこなった。その結果、DSS投与期間中はcKOマウスおよび対照マウスともに経時的な体重減少、大腸短縮、上皮損傷に伴う出血が観察された。DSS投与終了後、対照マウスでは体重や大腸組織が回復するのに対して、cKOマウスではこれら回復が遅延することが観察された。腸炎回復時における腸管DCの機能を調べたところ、cKOマウス由来DCでは細胞内菌体数の増加および炎症性サイトカイン(TNF、IL-6)生産量の著増が認められた。また、cKOマウス由来DCではIL-23生産量の減少、ならびにIL-23依存性に誘導され上皮修復を促すIL-22の大腸組織からの生産量の減少が認められた。これらの結果から、腸管DCの構成的オートファジーは常在菌の刺激依存性に誘導され、腸管ホメオスターシスの維持に重要な役割を演じていることが明らかとなった。
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