本研究では,濾胞樹状細胞により分泌されるプロスタグランジンE2(PGE2)とIL-21 による胚中心B細胞の新規な負の選択機構について明らかとしてきた。本年度は,PGE2/IL-21による胚中心B細胞分化段階出による感受性の違いを明らかとする事を目的とした。 1. まず,活性化B細胞と胚中心B細胞のIL-21/PGE2に対する感受性を評価した結果,胚中心B細胞において,IL-21/PGE2によるアポトーシス細胞の割合が増加していた。これは,胚中心におけるB細胞アポトーシスへのIL-21/PGE2の関与を示唆する。しかし,胚中心B細胞は分画後すぐにアポトーシスが誘導される事から,詳細な解析が困難であったため,次に,胚中心B細胞株を用いた。 2. セントロブラスト様細胞株とセントロサイト様細胞株を用い,IL-21/PGE2に対する感受性を比較した。その結果,胚中心において実際にクローン選択が起るセントロサイト様細胞株において,IL-21/PGE2に対する増殖抑制及び,アポトーシス誘導が認められた。一方で,セントロブラスト様細胞株においては,IL-21/PGE2による影響は見られなかった。 以上の結果は,胚中心におけるクローン選択において,IL-21/PGE2の刺激が重要な役割を持つ事を示唆する。 さらに,濾胞樹状細胞の生理的役割を解析する過程で,濾胞樹状細胞が,脾臓に存在するリンパ球系以外の細胞集団から,新規なミエロイド系細胞を誘導する事を見出した。現在までに,濾胞樹状細胞がミエロイド系細胞の分化に及ぼす影響に関する報告はない。また,この新規なミエロイド系細胞のB細胞に与える影響について解析した結果,胚中心B細胞の増殖を強く促進していた。これは,胚中心反応に,濾胞樹状細胞のみならず,ミエロイド系細胞が関与する可能性を示唆する。
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