研究課題/領域番号 |
23790547
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
植田 祥啓 関西医科大学, 医学部, 講師 (90533208)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | B細胞 / 胚中心 / 動態 / Rap1 |
研究概要 |
B細胞の機能におけるRap1とその下流シグナルの役割を検討するためにMst1, RAPL欠損マウスにalumをアジュバントとしてNP-CGGを免疫してT細胞依存的な抗体産生応答を検討した。その結果、一次の抗体産生産生応答は抗体量、親和性成熟、胚中心の形成 ともにRAPL欠損マウスでは大きく変わらなかったが、Mst1欠損マウスにおいては若干の低下がみられる場合があった。また、Mst1欠損マウスにおいては胚中心の形成が低下している傾向があった。T細胞特異的なMst1欠損マウスにおいては抗体産生胚中心の形成はあまり変わらなかったので、B細胞特異的にMst1による胚中心の形成に異常がある可能性が考えられる。二次の抗体産生応答においては現在検討中である。また、floxed Rap1aおよびfloxed Rap1b欠損マウスは現在キメラマウスとその子マウスの樹立に成功してつつあり、マウスが作製され次第、CD4-CreまたはMb-1-Creマウスと掛け合わせ、T細胞特異的、あるいはB細胞特異的にRap1が欠損したマウスを作製する。このマウスを用いて一次、二次抗体産生応答を検討する予定である。また、B細胞のイメージング技術については、リンパ節の濾胞内のポリクローナルなB細領域の動態をexlantやintravitalで解析することが可能であるるが、今後胚中心の可視化や脾臓におけるintravitalイメージング技術を確立するための現在準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に必要な遺伝子欠損マウスの作製の遅れ、不足により、Rap1シグナル経路欠損マウスのB細胞応答の検討が不完全である。
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今後の研究の推進方策 |
floxed Rap-1マウスの系統が樹立されたので順次拡大、交配しT細胞またはB細胞特異的なRap-1欠損マウスの作製を続ける。これらのマウスについて、抗体産生応答や胚中心の形成等を検討する。胚中心におけるB細胞の動態を検討するためのイメージング技術の確立し、RAPLまたはMst1欠損B細胞の胚中心における動態を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Rap1欠損マウスの抗体産生応答の検討に加えて2光子顕微鏡によるRap1シグナル経路欠損GC B細胞の動態解析を行う。1)Rap1シグナル経路欠損によるGC B細胞の形態変化、移動、FDCとの接着の影響を検討するためにa)抗原特異的BCRと蛍光タンパク質導入によるB細胞・T細胞の可視化b) FDCとFDC上に付着している抗原の可視化を行いc) GC B細胞の動態、FDCとd) GC B細胞のとTFHとの相互作用の2格子顕微鏡イメージングをによりin situでB細胞の動態を解析する実験系を確立する。Rap1によるシグナル経路やインテグリンによってGC B細胞の動態が変化するかどうかを検討する場合、Rap1シグナル遺伝子欠損マウスやLFA-1/ICAM-1欠損マウスのB細胞、リンパ節を用いて、生体内2光子顕微鏡イメージング解析を行う。また、リンパ節スライスを用いたイメージング法を活用し、阻害剤や中和抗体をもちいてリンパ球のentryや代償的応答などに影響されない解析を行う。2)FRETによるGC B細胞のRap1シグナルの活性化をRap1のFRETセンサーを遺伝子導入したB細胞で2光子顕微鏡のイメージングにより測定する。3)Rap1シグナル経路欠損GC B細胞における抗原レセプターシグナルの活性化の解析a)抗原によるBCRのシグナルを活性化を可視化するために, FRETを用いたカルシウムセンサー(カメレオン)をB細胞に遺伝子導入する。GCにおけるB細胞のカルシウムの濃度を2光子顕微鏡のイメージングによりin situで測定する。Rap1シグナル経路欠損マウス由来のGC B細胞でもちいて実験を行い比較検討する。代替としてGC B細胞は抗原レセプターを介して結合したFDC上の抗原を細胞内に取り込む効率を2光子顕微鏡やフローサイトメトリーによる細胞あたりの輝度の測定により定量する。
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