研究課題
本研究は糖尿病患者を対象に高度なデータ処理、言語処理エンジンを搭載した医療ICTシステムの開発を目的とする。医療IT技術は医療者間、また医療者と患者間で適時、的確なデータ、メッセージ通信を可能にする技術(eHealth、telemedicine)として注目され、2型糖尿病患者では血糖コントロール及びQOLの改善に一定の効果があると報告されている。一方で、医療者が随時患者に個別対応するため医療者の業務量と負担が著しく増大するとして積極的な導入に至っていない。本研究では患者から送信されたデータ及びコメントを自動的に解釈し、患者の送信内容から患者をリスクに応じて層別化し、リスクが高い場合のみ医療者が個別対応するシステムを開発し従来のシステムに比較し医療者の負担を軽減することを目的とする。平成23年度は、課題1: データ通信モジュールの開発、課題2:データ判定モジュールの開発、課題3: 自動応答モジュールの開発を行った。また、本格的な臨床試験を行う前に、システムの頑健性・信頼性を十分にチェックする必要があるため、臨床試験の前に十分に管理できる小規模な予備研究を行った。講座内のスタッフを対象としてシステムの安全性、正確性を確認した後、健常者を対象に1か月の試験運用を行い、更に10名の2型糖尿病患者を対象に1ヶ月間予備研究を行った。ここではシステムの安全性、正確性を確認し、更に各モジュールの一連の流れについて安全性、正確性を再度検証した。また、音声入力、音声からテキストへの変換、更にデータベース内の最も近似度が高い回答文へのマッチング、回答文と予めペアリングされたアドバイス文の送信過程に不具合がないかを検証した。次に平成24年度から25年度にかけて課題4:2型糖尿病患者54名を対象としたランダム化比較試験を実施し、3ヶ月後に本システム使用群では非使用群に比較して有意に血糖コントロールが改善することを明らかにした。
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Journal of Diabetes Science and Technology
巻: 8(2) ページ: 209-215
10.1177/1932296814526495