研究課題/領域番号 |
23790561
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今井 健 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90401075)
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キーワード | オントロジー / 糖尿病 / 病態遷移予測 |
研究概要 |
本研究は糖尿病患者の状態を特定し、病態の進展・合併症の発症リスクを定量的に予測するモデルを開発するため、糖尿病関連領域の病態因果連鎖オントロジーの開発、そのオントロジーに基づく糖尿病病態遷移モデルの構築、同構築モデルの妥当性の検証の3つを目的としている。本年度は以下のような研究を実施した。 (1) 糖尿病病態因果連鎖オントロジーの整備:前年度までに開発した糖尿病病態因果連鎖オントロジーβ版に対し、関連する臨床医学オントロジーに関する成果(厚生労働省受託研究開発事業H25-H27) の進展に基づき若干の修正を加え、糖尿病病態因果連鎖オントロジーを作成した。 (2) 患者観察項目抽出データの作成:前年度に行った第一段階作業に加え、H25年度も引き続き本院糖尿病代謝内科の患者退院サマリーを対象に、第二段階の患者観察項目抽出データベース作成を行った。これは日本医療情報学会・日本糖尿病学会の合同委員会で策定された糖尿病ミニマム項目セットと整合性を持ちながらこれを包含するもので、約40の観察項目から構成されている。この作成過程で、本研究に必要な時系列変化データを得るためには当初の抽出ルールに加えさらに詳細なサマリー分析を行う必要があることが判明し、この作業にかなりの日数を要したため、H25年度で予定していた病態遷移モデルの構築と検証までは行えず、延長申請の上これらの作業については次年度で行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で目的とする糖尿病病態遷移モデル構築に必要な基盤である、糖尿病因果連鎖オントロジーの構築については順調に進展した。一方、東大病院糖尿病代謝内科における退院サマリーからの患者観察項目抽出については、そのデータベース作成過程で、本研究の目的の1つである病態遷移予測モデルの構築に必要な時系列変化データを得るためには、当初の抽出ルールのみでは困難であり、さらに詳細なサマリー分析を行う必要があることが判明した。そこで当初研究計画を変更する必要が生じこれにかなりの日数を要したため、本年度は病態遷移モデルの構築と検証までは行えず、延長申請の上これらの作業を次年度(H26年度)で行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は前年度で達成できなかった病態遷移モデル構築と検証を行うため、まず作成された患者観察項目データベースから病態因果連鎖オントロジーへのマッピングを行う。また因果連鎖パス上で観測された病態ノードの間を時間的に平均的に移行したと仮定し、遷移確率の推定を行う。現在の観察項目は種類が多く、全ての項目が全患者について得られている訳ではないことから、統計的手法により主要な項目に絞りこむ方針である。また先行研究における経験的な病態遷移モデルの知見(Archimedes Model)との比較検討も予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度研究の過程において、研究計画を変更する必要が生じこれにかなりの日数を要したため、研究期間の延長申請を行った上で当初研究内容の一部をH26年度に行うこととした。 次年度では、本研究で必要なデータを取得するために必要な人件費等の経費は無く、研究をとりまとめる上での事務経費に使用する予定である。
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