研究課題/領域番号 |
23790564
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
北村 大 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80595679)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 外来診療 / 医師の満足度 |
研究概要 |
今年度は外来診療における「医師の満足度」を定量化して評価する妥当性・信頼性を担保した評価票を新たに作成した。勤務環境(診療所・中小病院・大病院)・勤務地域(都会・郊外・僻地)が多様となるよう配慮し公募したプライマリ・ケア医6人による,フォーカスグループインタビューを行った。テープ起しの内容を2名の医師がmodified Grounded Theory Approach(m-GTA)に則り独立して分析し,その後両者を統合して,満足度の高くなる因子(36項目:医学的側面8項目,患者との関係性9項目,同僚スタッフとの関係性3項目,同僚医師との関係性3項目,連携先医師との関係性4項目,診察環境5項目,そのた4項目),不満足度の高くなる因子(27項目:医学的側面5項目,患者との関係性4項目,同僚スタッフとの関係性3項目,連携先医師との関係性2項目,診察環境 13項目)を抽出した。 これらをプライマリ・ケア医の多数登録している外部機関に委託し,全国のプライマリ・ケア医を対象にインターネットを通じて,外来診療における医師の満足度を示す要因を抽出する目的でアンケートを行った。121人から回答を得て,これらの結果をSTATAを用いて因子分析を行った(promax rotationで因子負荷量0.7以上を有意)結果,6つの要素((1)診察環境(同席するスタッフ・騒音・予約時間などの流れ・電子カルテ・PHSなどによる診察の中断,外部資料へのアクセスなど):14項目,(2)医師患者関係(医師の意向と患者の意向の落とし処がみつかるなど):4項目,(3)同僚などの相談環境:2項目,(4)外来診療のペース:2項目,(5)患者からの評判:2項目,(6)不確定な要素を抱えた患者に継続して関わりながら医師患者関係性にも変化に富む環境):3項目)が有意とされ,これらの内的整合性を検証しプライマリ・ケア医に調査票を行い再現性を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した,信頼性・妥当性の担保された,「外来診療における医師の満足度調査票」は,完成された。
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今後の研究の推進方策 |
(1)当科でこれまで作成した,患者中心の医療・患者満足度を評価する質問票,(2)平成23年度に作成した,医師の満足度を評価する質問票,を患者・医師双方に配布し,双方の関連性をもたせたアンケート調査を行う。患者中心の医療の方法の実践の有無と,医師の満足度の関係性について,集計した患者層から,患者中心群・非患者中心群に分類して,それぞれへの医師の満足度を集計し,統計学的に解析する。また,医療面接における患者の満足度と,医師の満足度の関連性について,集計した患者層から,患者満足群・非患者満足群に分類して,医師の満足度を集計し,統計学的に解析する。この医療面接における患者の満足度と医師の満足度の関連性を調べることで,外来診療において医師の満足度が患者の満足度を反映することが明らかになり,医療面接における患者満足度が診察する医師の満足度を反映することを実証する基盤となり,文化・風習の異なる日本人においても,患者中心の医療の方法を実践することの有効性を示すことへと繋がる。
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次年度の研究費の使用計画 |
・医師と患者,双方に同時に行うアンケート調査に際し協力する,調査員への費用・平成23年度実施分の,(1)前述のフォーカスグループインタビューのm-GTAによる質的解析,(2)量的解析も含めた医師の満足度評価票,について,(1)2012年5月のWONCA Asia Pacific(世界家庭医療学会:アジア支部)(韓国),(2)2012年9月の日本プライマリ・ケア連合学会総会(福岡)にて発表費用・平成23年度実施分の,(1)前述のフォーカスグループインタビューのm-GTAによる質的解析,(2)量的解析も含めた医師の満足度評価票,についての,論文作成・投稿費用
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