研究課題/領域番号 |
23790566
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
角 栄里子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30452337)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 臨床試験 / シミュレーション / データ収集 / 二次利用 / 電子カルテ |
研究概要 |
研究成果の具体的内容電子カルテ検索システムを利用し、試験の実施をシミュレーションし、臨床試験・治験の実施の質とスピードおよび成功確率を上げることを目的としている。平成23年度は電子カルテ検索システムの改変作業を行い、データモデルを新規に構築することで、以前は困難であった複数項目での検索が可能となった。また、患者の医療情報を用いるため、検索システムの運用について疫学研究として研究計画書を作成し、倫理審査を受けた。本システムを利用する方法について、方法論を構築し、データ収集の部分について論文化した。臨床研究の成否の予測、検索システムのデータモデル自体についても、論文化しており、現在関連の国際誌に投稿中である。臨床研究の立案段階で本システムを用いてシミュレーションを行い、それに基づきより良い研究の立案に貢献した。また、4つの自主臨床試験で、本システムを利用してデータを収集した。本システムの有用性について研究者から調査を行っている。意義、重要性臨床研究で扱う医療情報は複雑で、簡単な検索機能だけでは電子カルテの情報を十分に活用できない。本システムは多数の項目を一度に検索可能であり、かつデータ収集機能を併せ持つという点で、最先端であり画期的である。さらに、これを実際の臨床研究で絶え間なく運用することにより、方法論を構築し、臨床研究の結果が出ることと同時にほかの研究にも適用可能な仕組みが確立されている。この研究は患者の医療情報を保護しつつ、実際の被験者への危険を最小限にしているという点で大変有意義である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検索システムの改変作業により、当初予定していた複数項目にわたる検索が可能となったこと、倫理審査等が計画通りに進み、研究が順調に進捗していること、4つの臨床研究において使用実績があることから、順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
検索システムに関して、より利便性・汎用性に高いものへと改変を行う。さらに、システムの利点および問題点を抽出し、臨床試験計画がどのように改善されたか、試験の成功確率が改善されたのかを評価する。検索システムが薬剤の副作用の評価に利用できることが実証されたので、さらに薬剤の安全性監視面から研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の研究を継続しつつ、その成果を公表するため、学会での発表と論文作成を行う。このため、論文の出版・校正費用を計上する。検索システムに関して、より利便性・汎用性に高いものへと改変を行うため、システム改修・保守費用を計上する。また、関連する情報を学会や出版物等で収集する。
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