研究課題
睡眠時無呼吸症候群(OSAS)を中心とした睡眠呼吸障害は、交通事故や産業事故などに加え、循環器系疾患の発生リスクを増大させることから、二次予防の面で非常に重要な疾患である。しかしながら、症状を自覚していない患者に対し、積極的に診断・治療することについては議論がある。本研究の目的は、睡眠呼吸障害のスクリーニングによる患者の早期発見・治療が、交通事故や将来の心血管疾患の発症の減少といった社会的にもたらす効果を費用効果分析により検討することである。最終年度である平成25年度は、これまでに収集したモデルに使用するパラメタ、作成したシミュレーション・モデルを用いて睡眠呼吸障害のスクリーニングについての費用対効果を検討した。その際、効果の指標は質調整生存年(Quality-adjusted life year: QALY)とし、1QALYあたりの増分費用効果比(Incremental Cost-effectiveness Ratio: ICER)を算出した。その結果、睡眠呼吸障害のスクリーニングを実施することは、イギリスのNICE(The National Institute for Health and Clinical Excellence)で取り入れられている医療技術の評価基準を用いて評価した場合、費用対効果が高いことが示唆された。ただし、睡眠呼吸障害の患者における心血管疾患、脳卒中の発症リスク、治療によるリスクの低下などのデータは日本人を対象とした研究がなく欧米のデータを用いている。日本人と欧米人ではこれらの疾患の発症率は大きく違うことから結果の解釈には注意を要する。今後、睡眠呼吸障害患者の予後に関するエビデンスの集積が望まれるとともに、どのような集団に優先的に睡眠呼吸障害のスクリーニングを実施すべきかの検討が必要である。
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