研究課題/領域番号 |
23790576
|
研究機関 | 東北公益文科大学 |
研究代表者 |
鎌田 剛 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50438595)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 地域医療連携 |
研究概要 |
地域医療連携の成熟モデルの理論的枠組みを検討するために、主に国内における当該テーマの学術的・実務的最新動向の把握に努めた。関連する図書資料の収集とそのレビューに力を入れた結果、地域医療連携の実践モデルを以下の3タイプに整理できた。(1)電子カルテやクリティカルパスを地域の医療機関間で共有するITネットワークによる連携、(2)地域の医療関係者による研修会・勉強会等を重ねて人的ネットワークを構成する連携、(3)ITネットワークと人的ネットワークを組み合わせた連携(すなわち前二者の統合型)である。その後、この知見をもとに、「わかしお医療ネットワーク」(千葉県東金市)、「公立みつぎ病院」(広島県尾道市)の事例調査をおこなった。 事例調査の結果、わかしお医療ネットワークは、電子カルテの地域的な共有と、地域の医療従事者らによるカンファレンス等の機会により、人的ネットワークを構築した実践例であることが判明した。公立みつぎ病院は、ITによる連携が一般的になる以前から、病院と行政による各種事業(地域包括支援センター、保健福祉センター、高齢者福祉施設等)が一体となり、総合的な地域ケア体制を敷いていることが明らかとなった。 これまでの調査では、少なくとも、上述したITベースの実践と人間ベースの実践が実在することがわかった。今後は、この発見事項をもとにして、今後の事例調査において、それぞれの実践タイプの特徴を整理していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
勤務先の大学が東日本大震災の被災地隣県であるため、震災直後からおよそ半年間、学内の体制整備や学生ボランティアの派遣業務に力を入れた。これにより、結果として半年あまり研究を進めることが実質的にできず、現在に至っている。
|
今後の研究の推進方策 |
震災への対応により、平成23年度は、当初予定していた事例調査が十分にできなかった。したがって、今後はとくに事例調査に力を入れる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に予定どおり実施できなかった事例調査の分の研究費を、平成24年度請求分と合わせて使用する。調査対象の候補は、「わかしお医療ネットワーク」(千葉県東金市)、「公立みつぎ病院」(広島県尾道市)、「尾道医師会方式」(広島県尾道市)である。また、先行研究のレビュー、地域医療連携事例の最新動向等を常に捕捉しておく必要があるため、図書・雑誌等の資料収集も並行して実施する。
|