1、小規模病院における新規健康問題の種類と頻度 茨城県西部に位置する小規模病院総合診療科外来を受診した16歳以上の初診患者1557例のデータベースを構築した。来院理由(主訴)および診断病名を、プライマリ・ケア国際分類第2版(ICPC-2)でコード化して整理した。解析対象は、予防活動症例を除外した1515例で、来院理由は2252件(170種、1.49件/受診)、診断病名1727件(196種)であった。来院理由の上位約30項目で全体の約80%、診断病名の上位50項目で全体の約80%を占めた。既存の診療所のデータと比べ、来院理由および診断病名ともに、 L(筋骨格)とS(皮膚)が少なく、来院理由において、A91「異常結果の精査」が多いことがわかった。これらは、本邦の小規模病院初診患者の特徴として示唆された。本研究の成果は、小規模病院外来診療で必要なスキル構築、および医学生や初期研修医のための地域医療教育カリキュラム作成に役立つと考えられる。 2、菌血症の臨床予測ルールの作成 研究協力施設(4病院)の救急外来を受診し、血液培養を施行した16歳以上の患者2070症例のデータベースを構築した。統一フォーマットにて症候、バイタル、身体所見、検査データ、血液培養結果を収集した。解析対象は、血液培養1セットの症例を除外した1982例で、菌血症は329例(16.6%)であった。症候、バイタル、身体所見、検査データを予測変数にして、菌血症の有無を予測するための臨床予測ルールを作成し、その検査特性を検証した。本研究の成果は、プライマリ・ケア診療や救急診療に従事する臨床医の菌血症診断推論に寄与すると考えられる。
|