研究課題/領域番号 |
23790578
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
加藤 剛平 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 長寿政策科学研究部, 室長 (60465820)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 環境因子 / 社会参加 / 高齢者 / 買い物活動 / 社会的つながり |
研究概要 |
2001年にWHOが国際生活機能分類を採択してから、人を取り巻く環境がその活動や参加に関連する因子として重要であることが提唱されてきた。日本においても、高齢者の外出状況などの活動状況と環境因子の関連についての研究が増加傾向にあるが、社会的つながりを形成させる、高齢者の参加の状況に関連する環境について検討した研究は少ない。そこで、本研究は、参加の状況として、近年、我が国において「買い物弱者」の問題が各種マスコミを通じて報道されていることから、高齢者の買い物活動に着目し、買い物活動と環境因子、特に地域の環境及び、交通の環境とが関連するのかについて検討した。 埼玉県A町に在住する60歳以上でシルバー人材センターに登録している者のうち、研究への参加に同意した男性、女性併せて50名を分析対象者とした。買い物活動として、1)買い物の頻度、2)買い物場所までの移動に手伝いが必要であるか(買い物移動の自立状況)に着目し、評価した。環境因子として地域の環境及び、交通の環境に着目し、居住環境評価尺度Home And Community Environment(HACE)日本語版を用いて評価した。また、基本属性として性別、年齢、身体能力として10m最大歩行時間を評価した。 分析の結果、対象者の平均年齢±標準偏差は69.9±4.6歳で、女性13名(26%)、男性37名(74%)であった。買い物の頻度と環境因子、性別、年齢、10m最大歩行時間との間で統計的に有意な相関関係はみられなかった。一方、買い物移動が自立していた集団は、買い物移動が自立していない集団と比べて、有意に地域の環境にバリアが少なく、交通の環境が整備されている得点を示した。 このことから、高齢者の買い物場所への移動の自立状況と地域在住高齢者を取り巻く地域の環境、交通環境とが関連することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、1)高齢者を対象とし、社会的つながりと取り巻く環境の質・量的側面を記述研究により明らかにする。2) 一 時点における高齢者らの社会的つながりの量に関連する環境因子を横断研究により特定する。3)研究課題1) 、2) の対象者を前向きに追跡調査し、高齢者らの社会的つながりの量の維持・拡大に影響する環境因子を明らかにすることである。これら三つの課題のうち、1)、2)は昨年度に達成されたため、本研究は、おおむね順調に進行していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に使用する予定の研究費が生じたのは、分析結果の発表及び、論文化の時期を変更したため、それに応じて、要する費用の使用時期も変更したからである。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究打ち合わせ及び、発表のための旅費、解析ツールの購入費、論文の作成・投稿に係る費用に使用する計画である。
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